Novel2
□真実の華
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アスランにもかつては婚約者がいた身だ。とやかくいう資格等ない。
けれど、あのユウナのカガリに向ける感情は、かつての自分達と違う。
もし、ユウナが心の片隅にでもカガリに対する尊敬心を抱いていたなら印象は変わったはずだ。
例え、カガリの婚約者である限り好きになれないにしても。
しかし、彼の表情に常に浮かぶのはカガリに対する侮りと国家首席への偏った独占欲だ。
それがアスランには許しがたい。
ユウナがカガリを侮るに匹敵するような器を持っているようには見えないからだ。
カガリをただの飾りと認識している節のあるユウナだが、彼とて『セイラン家』という名の飾りではないかとアスランは思う。
確かに、見栄えよく振る舞うのが得意だから飾り栄えのする器だろうが、観るべき者を観て来た目には道化にしか映らない。
けれど、危うい政治情勢の場で矢面に立ちカガリを守れるのは、一介のボディーガード等ではなく、セイランの名を冠した道化のユウナ・ロマ・セイランなのだ。
歯痒い現実にアスランの口から溜息が零れた。