Novel2

□白銀
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「全く、こんな下らん事に駆り出されるとはな…」
「そう、ですね」
長靴を穿き、スノーダンプを押しながらイザークとシホは愚痴を零す。
プラントの環境システムが故障し雪掻きに借り出されていた。
大雪が降る等当然だが、想定外のことなのでろくなハイテク機器もなくアナログな手段での雪掻きを余儀なくされている。(地球の雪国の苦労を思い知るが良い)
イザークは腰が痛いとこっそり呟きつつ、シホを見遣る。
「大丈夫か?」
「はい、なんだか楽しいですね!!」
…………どこが?
そんな気持ちが顔に出ていたんだろう。シホがクスクス笑い出した。
「……なんだ?」
「いえ、隊長の世界みたいだなと思いまして」
「……どういう意味だ?」
シホは大変優秀な部下であり、イザークの大切な懐刀でもある。明晰で無駄のない彼女の言動を評価している。
だが、時折イザークには解らない事をいい出すのだ。ディアッカいわく『あぁ、見えてロマンチストだかなぁ。まぁ、お前にはわかんないわな』とかなんとか。
眉間に皺を寄せながらシホを見つめると、彼女の白い頬が微かに赤らんだ。
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