Novel2

□ビター・スウィート
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失った物と手に入れたものを計りにかけて、手に入れたものの方が大きいとそんな事を思うのは、不謹慎だろうか。

例えば、バレンタインに渡されたいびつな形のチョコレートであるとか、不安と期待でこちらを見てる水色の瞳とか。

「なんとか言ったら?」
「ん。上手いよ?」

こうやって、思わせぶりな解答をしていれば、彼女はヤキモキしたまま俺の事で頭がいっぱいになるんだろう。
普段の俺の感情を少しでも解ればいい。

こんなふうに、今日という日に、恋の駆け引きじみた事に興じているのは不謹慎だろうか。

「ディアッカ…」
「馬鹿、旨いに決まってるだろ。お前がくれたものなんだから」

揺れる水色から微かに溢れる涙を綺麗だと思う。
もう、いいだろう…?

今日という日を幸福に思っても。
忘れる訳じゃない。
幸福を知る度に俺は深く誓うのだ。

あの惨劇を繰り返さないと。

どうか、この幸福を永遠に………





End

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