NARUTO 【うちはマダラ 暁長編】
□【出逢い】
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真っ暗な夜に
真っ赤な月
ここは・・私は・・・
・・・・
痛む体…
動かそうとしても全く動かない
目の前には黒い影だけが彷徨う
ー血に染まる地面
ー斬られ行く者たちの叫び
ー紅い眼
ーズキッ!!
『 ・・はっ!!!! 』
夢か・・・それにしても頭が痛く体も痛い
起き上がれそうにないな・・・
『 ・・・?! 』
私はいつもとは違う天井に気付く。
焦って周りを見渡した
そこは 薄暗く湿った空気 光はなかった
・・・家じゃない・・・私はなんでこんなところに
「・・・気が付いたか・・」
横になる私の後ろから声がした
低く 冷たく 恐ろしい声・・・
振り向くと そこには 声とは裏腹に きれいな髪の きれいな瞳をした男がいた
闇からやってきた小さな光のようにも見えた。
『 ・・だ、誰 』
すると男は私を見下ろした すぐそこには顔があって 距離が近かった
瞳の奥まで見えてしまいそうな・・・
私はその目に吸い寄せられるかのように起き上がる
少しまた襲う痛み、頭痛。
『 ・・・いたっ 』
「・・・まだ少し痛むか
大体の手当はしておいた あとは回復すれば・・いいのだがな・・」
『 回復って・・・いったい私は・・・なんでこんなところに 』
私は 体中の自分についている傷を目の当たりにし 困惑状態になった。
それもそのはず、右腕がなかったのだ・・・
「・・・俺の部下が道端で負傷していたお前をここへ連れてきた。」
『 ・・・私・・・やっぱり思い出せない・・ 』
思い出そうとすると頭痛がした・・
「・・・」
男は無言で私の顔をクイッと持ち上げ じっと見つめてきた
火照る顔・・・自分でもわかった
吸い込まれそうになる その眼・・・きれいな眼・・・
「・・・いい女だ」
そういうと男は私の顔を荒々しく枕に沈めた
『 ・・・・・っく
何しー・・・ 』
「腕がなくては何の意味もない
お前には 何かの素質がありそうだ
俺には分かる 幾度も幾度も忍を殺めてきた俺にはな、この目には・・・」
殺めてきた・・・この男 やっぱり悪い奴なのかもしれない
『 ・・・た、助けてもらったのはありがたい・・・でも!こんなところにいてられない!ここに来る前は私はきっとなにか・・・ 』
「記憶がないのであろう・・・」
かぶせてくるかのように男は私の話を途中でやめさせた。
確かに 記憶もなければ どこに帰っていいのかもわからない
助けてはもらったけど この男は信用できない
『 ・・・ 』
ゆっくりと腰を掛けた男
『 ・・・あ・・・あなた名前は 』
腰を掛けたまま腕を組み 足を組む
「・・・・うちは マダラだ」
うちは・・マダラ
私の中の記憶が男の名前とともに走馬灯のように駆け巡った
叫び、苦しむ そして怒り 憎悪。
そして私は思い出した・・・・・
『 ・・・・・・思い出した
私は うちは名無しさん そして
うちは一族の中で最も強いチャクラを持って生まれたもの・・・
うちはマダラの如く・・・・ 』
すべては思い出された。
私の家族は 一族は 帰る場所は・・・・・・
ない
「・・・うちはか・・」
マダラはにやりと微笑んだ。
怪しく 恐ろしい笑みを
ぞっとするくらい恐ろしい笑み。
『 ・・で、でも うちはマダラって私の遥か昔のご先祖で・・・
もう生きてたらおかしいじゃない!
あなた・・・本当にうちはマダラなの?! 』
怪しむ私を見つめ 椅子に深々と座るマダラは急に立ち始め
後ろについていた樹木のような物を取った
プシュー っという音とともに
マダラは荒々しくまた椅子に座る
よろよろと 先ほどとは打って変わって まるで老人のようになっていた
「・・・この通り」
マダラはよろよろと私の方に近づいてきた・・
「・・・今はこの後ろの魔像からチャクラを与え続けられなければ俺はとっくに死んでいた・・・かつて戦った初代火影 柱間の細胞を取組み 俺はその二つあって今ここに存在している・・」
『 柱間・・・マダラ・・・もう歴史の勉強をしてるような気分
でも・・・マダラは初代と戦ったときに敗れてるはずだし・・
(確かにこの魔像とかいう樹木を外した瞬間に一気に老いた・・・もしかしてこの人の言っていることは本当なのかも・・) 』
名無しさんは困惑した・・
「・・・そうだ 死んだとされていたが それは本当の事実だ
が、俺はその事実を変えた・・・
イザナギ・・ うちはの禁術とされている術
己の都合のいいように現実を書き換える うちはの者にしかできぬ禁術・・・」
『 イザナギ・・・って・・・代償は・・・・・・・光 』
「ああ。よく知っているな
使用したものは 光を失う・・・そう 失明だ。」
『 ・・・・・そんな術・・・ 』
「そして俺は この世を このくだらん世界を恨み憎んでいる。
俺ならこんな世界にはしなかった。
柱間の作った矛盾した世界 いわば 偽りの平和だ。」
『 ・・・この世は偽りの平和なんかじゃない!!
初代火影が作った 忍びの平和な世界!
私たちはそこで生まれ・・今も火の意志を・・・・ 』
全て思い出した
木の葉、そしてうちは一族の自分。
木の葉の忍を誇りに思い 学んできたんだ。
「確かにお前がそう疑うのも仕方がないとは思うがな・・・
では・・・なぜお前はその腕を無くした?
なぜお前はそんな深手を負った?
もう少し思い出してはみてはどうだ・・」
名無しさんは はっとした表情でマダラを見上げた
「俺の部下も最初は 俺の事も 今の現実も疑っていた・・・
奴も かつて うちはのころのお前と同じ 平和を心から望み、愛すべき者たちとともに歩んできた人生・・・
くだらん人生・・そうは思わんか
勝者の裏には敗者がいる・・望んでいなかったものが平和と勘違いをした
愚かな忍び世界・・
だが 本当の現実・・絶望を知るとともに 奴もこの俺のように なっていった・・」
マダラは長々と 名無しさんに語った
『 ・・・何がいいたいの?・・ 』
またもにやりと微笑むマダラ
「 ・・・死んでは何にもならん
残されたものは 地獄にいる・・ 」
・・・私は ここに来る前の事を思い出した