火黒ver
□5人
1ページ/5ページ
春...というにはまだ寒い3月1日。
万全の寒さ対策をしても尚、
顔や手に冷たい風が突き刺さる。
「...暖かそうで良いですね、2号は。」
「ワフっ!」
自分の少し手前を歩く2号に皮肉を言うが、うまく伝わらなかったようだ。
今日は誠凛に別れを告げる日。
この通学路を歩くのも今日が最後。
正直あまり実感が湧かない。
思い出が詰まりすぎているせいか、それとも誠凛を離れた自分が想像出来ないのか。
どちらにせよ、
「最後と言われるとやっぱり寂しいものですね。」
「...ワゥ」
入学時よりも少し年季が入り始めた
校舎を見上げ呟く。