欅坂小説
□チョコ&バニラ
1ページ/2ページ
菅井side
「ぅう・・・痛いぃ・・・。」
楽屋に入るなり、急にお腹を抑えてうずくまった茜。
「茜っ!?大丈夫!?」
慌てて声をかけるけど、苦しそうに顔を歪めて呻いているだけで返事はない。
「さっきの麻婆豆腐特攻食いのせい!?・・・っ、誰か、マネージャーさん呼んで!!」
何事かと集まってきたメンバーに、咄嗟に指示を出す。
「茜、もうちょっと頑張って!」
「うぅ・・・っ、」
何とか落ち付かせようと声をかけるけど、相変わらず顔を歪めたままだ。
どうしよう・・・。茜が死んじゃう・・・!!
「・・・ゆ・・ぅかぁ・・・」
私までパニックになりかけた時、名前を呼ばれた。
「茜っ!?どうしたのっ!?」
「て・・・。」
「て?」
「手ぇ、握って・・・。」
突然のお願いに、顔が熱くなるのがわかる。
え・・・付き合ってはいるけど、人前で手なんて繋いだことない・・・。
って、そんなこと考えてる場合じゃない!!
ぎゅっと手を握って背中をさすってあげると、苦しそうな顔をしながらも薄く笑った茜。
「えへへ・・・恋人繋ぎ、っ・・・!!」
そう言ってから、また痛みの波に襲われたのか、開いてる手でぎゅっとお腹の部分の服をきつく掴む。
「もうっ・・・!!」
心配と照れと少しの呆れが混ざって、何とも言えない気持ちになる。
やがて駆けつけたマネージャーさんに、茜は病院に連れていかれた。
「やっぱり、あの特攻食いは命がけなんだね。」
愛佳が隣でぼそっと呟いた。