欅坂小説

□いつか必ず
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平手side



「てっちゃん可愛い可愛い〜。」
まるで小動物を愛でている時のような表情で私の頭を撫でまわす、あかねん。


「あかねん〜、私は子供でも小動物でもないよ〜。」
撫でられるのは嬉しいけど、なんかちょっと違う・・・。


「だって、てっちゃん可愛いんだもん!!」
そう言って今度はほっぺたをプニプニと触ってくる。




はぁ・・・。
このモードに入ると、しばらく止まらないから、今は好きなようにさせておこう。
気持ちを無我の境地モードに切り替えて、あかねんの可愛い攻撃に耐える。






「あれ、てっちゃん・・・・ご機嫌ななめ?」
しばらく沈黙していた私を見て、あかねんがちょっと不安そうな顔をする。

「んーん、そんなことないよ。」
すぐに否定すると、くしゃっと眩しい笑顔を向けてくれる。



綺麗な顔立ちなのに、笑うと可愛い。
・・・うん、最強だ。

「あかねんの笑顔・・・好きだよ。」
少し恥ずかしかったけど、思ったことを素直に言う。

「ふふっ、ありがと。」
今度は優しく微笑んで、言った。



年上の余裕というやつなのか、全然照れてくれない。
そりゃ、4つも年上のあかねんから見れば、私なんてまだまだ子供かもしれないけど。

いつから好きになったのか、思い出せない。
気がつくと目で追っていた。声を探していた。
頑張り屋で、優しくて、綺麗で、可愛くて。
憧れる要素は上げたらキリがないほどある。



早く大人になりたい。
そうすれば、あかねんも振り向いてくれるだろうか。



「てっちゃん?大丈夫?」
優しい声音に、はっと我に帰る。

「あ・・・ごめん、ちょっとぼーっとしてた。」

「ごめんね、疲れてるのにちょっかい掛けちゃって。」
少し眉を下げて、私のお腹に回した腕を離すあかねん。
でも、すぐに私の方から距離を詰める。

「てっちゃん、どうしたの?今日は甘えんぼさん?」
あかねんの肩に顔を埋めながら、こくっと頷くと、また可愛いねぇと言われる。



「あかねん、好きだよ。」
緊張で震えそうになる声に精一杯、力を込めて言う。

「ありがと、私も好きだよ。」



・・・・あかねんの「好き」と、私の「好き」は違う。

いつか、あかねんの「好き」が私の「好き」と同じになればいいな。






今は無理でも、いつか絶対、振り向かせてみせるから。

「待っててね、あかねん。」

「えっ、なになに、何の話?」

「秘密。」

「え〜!!」


待っててね。
もう一度、心の中で呟いた。

END
 

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