乃木坂小説

□寂しくて
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秋元side


忙しいのは、知ってる。
ずっと近くで見てきたから、知ってる。

でも、最後にまいやんに触って、触られたのはいつだろう・・・?




「ん・・・」
ベッドサイドのライトを付けただけの、薄暗い寝室に自分の嬌声と粘着質な水音がこだまする。
必死に指を動かしてみるけど、まいやんにされている時のようはなれない。
体の熱はくすぶっているだけだし、指を動かせば動かすほど寂しさが増していく。

「はぁ、あ・・・。」
ぎゅっと目を瞑って、まいやんに触ってもらった日と感覚を思い出す。
白い肌を上気させて見下ろしてきてて。
濃い琥珀色をした瞳に宿る熱と、少し苦しそうな顔を必死に脳裏に浮かべる。


「ん、まい・・・やん・・・。」

「なぁに?」

「っえっ!?」
まさか答えが返ってくると思わなくて。
なけなしの運動能力を使って跳ね起きると、ベッドに浅く腰かけてこっちを見ている人がいた。

「あ・・・。」
今さっきまで瞼の裏に思い浮かべていた人が、そこにいた。
会いたかったはずなのに、顔を見る事ができない。

だって・・・・・。


「・・・やらしー・・・。」
ちらりと盗み見たその顔が、にやにやと笑っていた。
ばさりと毛布を剥いで、私の下半身に視線を送っている。
かあっと顔に熱が集まったときにはもう、まいやんに両膝を抑えつけられていた。

「あんまり濡れてないね。」
アイドルらしからぬ発言をしてるし、顔は相変わらずにやにやとしているし。
普段の姿を知っているファンの人やメンバーが、美の象徴である人のこんな姿を知ったら驚くだろうなぁ。


「っ・・・あ、」
両膝の間に体をすべり込ませて、私の顔の横に両手を付いてる。


「寂しかった?」

「・・・・・。」

「真夏。」

「・・・寂しくなきゃ、こんなことしないよ・・・・。」
こんなこと言ったら黒石さんが発動するかなと思ったけど、予想に反して笑っただけだった。


「ひゃっ!」
がりっという音と一緒に、少しの痛みが首に走って、思わず声が出る。
体の奥でじりじりしていただけだった熱が、一気に上がった気がした。
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