欅坂小ネタ集

□小ネタ5 〜犬なの?〜
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志田side




「ねぇ愛佳。」


「んー?」


「ちょっとお願いがあるんだけど。」


「なにー?」


「雑誌見ながら聞かないでよ。」
ちょっと不機嫌そうな理佐の声。
慌てて視線を上げると、悩ましげな視線とぶつかった。


「・・・・・理佐?」


「・・・・やっぱいいや。」


「なにそれ、気になる。」
ふいっと横を向いてしまった理佐の反応に好奇心を駆り立てられたから、問いただす。
でも一向に話す気配がなくて、俯いてしまう。


「・・・・キスしたいとか?」


「・・・まぁしたくないってわけじゃない。」


「じゃあその先?」


「っ、・・・・。」




なぁんだ、そういうことか。
合点がいって、理佐の身体をベッドに押し倒す。


「っ、まって愛佳!!違う!!」


「えっ・・・。」
即座に否定された自分の行為に、多少ではないショックを覚えて呆然とする。
起き上った理佐の顔が近くにきてて、ちょっとドキッとする。





「・・・・・あのね。」


「うん。」





「噛んでもいい?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んっ?!」

え、待って理佐今なんて言った?
噛んでもいい?
いや待って、絶対違うでしょ。
聞き間違いだよ絶対。



「神対応?」


「愛佳それね、現実逃避したくて聞こえた幻聴だと思う。」


「あ・・・やっぱり?ってことは『噛みたい』で合ってる?」


「うん。」


「・・・うん。」


「えーっと・・・・理佐、熱ある?」


「ない。」


「何か変なもの食べた?」


「失礼すぎ。」


「ごめん。」


「・・・・・・。」
え、噛みたいってどういう・・・。
え?理佐大丈夫?病んでんの?病んでんのこれ?
どうしよう、恋人が病んだ時の対処法とか調べておけばよかった。


「愛佳?」


「えあ・・・ごめん、聞いてなかった。」


「・・・・・聞かなかった事にして。」


「あっ!ちょっと待って理佐!!あの・・・どうして噛みたいかだけ・・・。」


「・・・・・別に理由はないけど。」


「ええ・・・。」


「ただ愛佳を見るとなんか胸の辺がぎゅってなって、ムズムズするから。」


「それを噛む事で解消できるんじゃないかと。」


「うん。」


「・・・・・・・・・えーっと・・・いいよ?」


「えっ!?」


「だから、いいよ。」


「・・・・・うそ。」


「噛みたいんでしょ?・・・いいよ?」


「・・・嫌いにならない?」


「なるわけないじゃん。なんか、あれでしょ?愛情表現的なものでしょ。」


「うん・・・まぁ。」
自分からしたいって言ったのに、急におどおどし始める理佐。
ぷちぷちと自分のパジャマのボタンを外して、今度は自分がベッドに寝転がる。


「どうぞ?」


「っ・・・愛佳、ごめんっ・・・もう我慢できないっ!!」
そう言って理佐が鎖骨の辺りに噛みついてきた。
痛いと気持ち良いの間ぐらいの、絶妙な力加減で噛まれて、何故だか知らないけど身体の温度が急激に上がった気がした。


「あ・・・りさっ、」


「痛かった?」


「ん・・・ちょっと、だけ・・・・でも、きもちいい・・・・。」


「・・・っ、もっとしていい?」


「いいよ?・・・・して?理佐。」


「んっ、ぅ、まなかっ・・・!!」
その後の事はあんまり良く覚えてなくて。
でも朝起きたら、体中にうっすらした噛み痕が沢山残っていた。


「・・・想像以上に気持ち良かったのがやばいんだよなぁ・・・。」
隣で寝てる理佐を起こさないように、そっと呟いた。




END


 

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