桃色受け
□俺だけを見ろよ
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side：髙木
なんでいつも俺をイライラさせて困らせてペースを乱す
こんなことになってるがアイツはこれっぽちも悪くない。悪いのはアイツに恋をしてしまった俺だ
入学式の時は綺麗に着ていた制服は３年生になった今じゃ着崩している
こんな怖い見た目だから後輩も知念も逃げていく
だが、1人を除いては。。
涼介「せーんぱい！またそんなに着崩して。だから知念は振り向かないんっすよ」
能天気な声色でコイツはいつも俺を茶化してくる
俺が知念のことを好きだと知っているやつだ
知っているだけならまだいい。だがこいつも知念の事が好きだ
俺を茶化しては俺が知らない知念の仕草や弱点、一つ一つの行動を嫌味みたいに言ってくる
雄也「だから、それをいつも俺に言う理由はなんだよ。自慢か？」
涼介「違いますよ。俺が奪ってやるからってことですよ」
先輩しらないと思いますけど、、、
と続けて
涼介「俺達、付き合ってるんで。渡しませんよ」
睨むようにして鋭い視線を向けられ言うだけ言って去っていった
雄也「なんだよ。ははっ、告白する前から失恋かよ。カッコわりぃ」
山田と知念が仲がいいというのは知っていた。
いつも一緒に登校して下校してと毎日2人は離れることがなかったから
でもまさか付き合ってたなんて。
そうだよな
学園のマドンナに相手がいないなんておかしいもんな。
俺も教室に戻ろう。そう思って廊下を歩いていると見たことがある小柄な背中
好きな奴を見間違うはずが無い。
気付いたら声をかけて走ってた
雄也「知念くん！」
侑李「……え？」
ゆっくりと振り返った君はやっぱり可愛くてマドンナで。
雄也「俺、髙木雄也。よろし、あっ！」
侑李「ご、ごめんなさい！」
声をかけた瞬間に逃げていった俺の好きな人。
彼は極度の人見知りだし彼氏だっている
やっぱり諦めるしかないのかこの恋は。
でも俺の初恋
これだけで終わらせたくねぇよ
ぜってぇ、あの後輩から奪ってみせる
後輩に負けてたまるかよ
高校最後の年にそう簡単に諦めても面白くない
楽しみながら、アイツを俺の恋人としてほしい
何もかも最初から手に入っても嬉しくもないし楽しくもない
頑張って粘り強く耐えて耐え抜いてあの後輩に言ってやんだ
俺の勝ちだって
.
──昼
はぁ。
昼食を食べる昼休み
クラスの奴らは腹減ったー！とか外で食べようぜとかはしゃぎながら弁当やら菓子パンをもって教室から出ていく。
普通なら俺だって昼休みになるとあいつらと同じように大好物のオカカおにぎりを食べ始めるはずだ
でも俺が溜息をつきながらオカカおにぎりにも手を伸ばそうとしないのは教室の窓から見える外が原因だから
雄也「はぁ…」
諦めないとはさっき自分に言い聞かせたばかりだが、やはり負けている気がしてならない
大きな木の下、日陰のベンチに寄り添いながら座る幸せそうな２人。
最初は自分の弁当を自分で食べていた2人だが時が過ぎるに連れて食べさせあい、照れながらその空間はまさに2人だけの世界
俺と話していた時はすぐに逃げていった君も相手には優しい笑顔を向けて楽しそうに話してて。
君の隣に俺がいたら。となん度も思っては頭の中で、夢の中で君を汚した
この世界は本当に不平等だ。
いつか誰氏が皆平等だ！なんて俺達に言い聞かせてきたがそんなの言葉ばかりだ
平等ならなぜ1人は笑ってて1人は泣いて1人は幸せで1人は不幸せなんだ
思うに世界には選ばれた人生と選ばれなかった人生が存在している。
その中で俺は選ばれなかった人生だと言うことが分かる
そしてあの2人は選ばれた人生の中で愛し合う
好きという気持ちすら伝えられず、心に残る重くて黒い塊
この塊に気づいているはずなのに気づいて無いふりをしてまた自分を苦しめる。
好きな人にアタックすら出来ない俺はなんて惨めなんだ
涼介「知念……」
侑李「へ？……//」
見たくないのに視線は2人の方へいってしまう。知念は顔を紅くし戸惑っているように見えた
侑李「＿＿＿好き。」
ほら、知念の口から好きという二文字の言葉が出たんだ。もうあのふたりを引き剥がすことなんて無理だ
それなのになんで山田は悲しそうな顔をして笑っている
知念から好きだって言われてんだぞ？おかしいだろ。恋人に好きだと言われてなぜ嫌になる
いまだに見ていた俺に何故が知念が下から見てきて少しの間、目があった
そんなことあるはずない。でも勘違いしてしまうのは知念の表情が俺と目を合わせた瞬間に更に頬を紅く染めたからだ
なんだよ
あの2人の行動全部
雄也「わかんねぇ…」
はぁ。と3度目の溜息をついたと同時に昼休みを終えるチャイムが鳴り響いた
そしてあっという間に放課後。外は橙色の夕日が教室を照らしていた
帰ろう。もう俺だけしかいない教室から出ようとドアの方に手を伸ばし廊下に出た
「せ、先輩っ！」
動かしていた足は、その声を聞いた瞬間動かなくなった。
俺じゃない。俺に言ってるんじゃない。勘違いするな
また足の動きを再開させて早々とこの場を去ろうとした
でも。。
それは後ろから走ってきたマドンナによって止められた
侑李「先輩！」
雄也「…ち、ねん君？」
人見知りで逃げた彼が今こうして俺に後ろから抱きついてきている。
侑李「雄也先輩＿＿＿＿」
嘘だろ
俺を騙してるだけだろ。可哀想な俺にそんなこと言ったら何しでかすか分かんねぇぞ？
でも君は涙目になりながら、先輩が好き！先輩じゃないとやだ！なんて必死に言ってるから
あぁ。
俺は選ばれた人生の中で幸せになるんだ。不幸せの現実から幸せな今になるなんて思ってもみなかった
だからあの時、山田は悲しそうな顔をしていたんだ。きっと付き合ってるなんて俺を焦らせるための嘘だった
1人の奴が幸せになったら絶対と言っていい確率で、誰かが不幸せになって傷ついてる
でも。
皆が幸せにならないより多く楽しい時間を増やした方が俺はよっぽどいいと思う。
だから、、
雄也「侑李、俺も好き」
涙で顔をぐちゃぐちゃにする君の雫を拭ってそっと優しくキスを落とした。
俺のファーストキスは涙で塩っぱい味がした
────end.