ラスボス女王(ラス為)
□夢の始まりは
1ページ/5ページ
柔らかそうな金の髪に麗しい瞳。
普段可愛らしい表情のティアラ第二王女は、その日、いつもはあまり見せない苦悶の表情で目覚めの紅茶を飲んでいた。
プライド第一王女の私室、扉の前。
「ステイルお兄様、是非、早急に、ジルベール宰相とお話しする時間を下さいっ。…お姉さまの事で、内密に。」
ぐ、と力を入れた両拳を胸の前に、朝の挨拶もそこそこにそう伝えてきた妹を、やや驚いて見ていたステイル第一王子。
最後の言葉に、直ぐ様頷いた。
「分かった。朝食のあと、ジルベールと調整してすぐに知らせよう。」
お姉さま、そして内密にと言う言葉で察してくれた優秀な兄は、その後すぐに扉が開いた瞬間何事もなかったようにいつもの微笑みを浮かべていた。
そうして朝食を終えた後、午後のアネモネ王国レオン王子の定期訪問。
プライド王女が一人で応対する時間に、別室へ集められた三人の姿があった。
「プライドに関する予知夢だな?」
…やはり、兄は察しがよくお姉様のことが大好きだわ。と嬉しくなりつい笑んでしまった表情を、これから話すことの内容がとても大切だと思い出して引き締める。
事を急いては仕損じてしまうと言うが、仕損じてしまうと取り返しがつかないことになる。
これらは、失敗するわけには行かないのだ。
ステイルとジルベールの顔へ視線を向ければ、大切なプライドに今度は何が起こるのかと不安で表情が強張っているのが分かった。
「お兄様、ジルベール宰相。私が見た最初の夢を今からお見せします。…その前に、こちらをお読みくださいっ。」
ソファセットの対面に座る2人へ、ティアラが稚拙にもまとめた用紙を指先で押さえながら、スライドさせてそれぞれの前へ提示する。
「とにかくお聞きになりたいことはあると思うのですけどっ、先ずはとにかく最後まで私の話を聞いて欲しいと思いますっ。」
そうして始まった三人の秘密会議は、最後にティアラ第二王女とジルベール宰相の微笑み。
対してステイル第一王子の湯だった顔を両手で覆い、何やら呻く様子で終わりを迎えた。
「お任せくださいませ。ティアラ様の憂い、必ず晴らして見せましょう。」
「ジルベール宰相、頼もしいですっ!くれぐれも、宜しくお願いしますねっ!お兄様、くれぐれも、くれぐれも宜しくお願いしますっ!」
「ぐ、うぅ…。」