BOOK(編集用)
□第1話
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今日も今日とて俺は溺れかけていた。
俺、渋谷有利は異世界の眞魔国という魔族の住む国で魔王になり、執務に追われる毎日を過ごしている。
まあ執務と言ってもその実態は書類のサイン。
魔王になったとは言え、俺は17歳の野球小僧で政治なんてさっぱり苦手だ。
そんな頼りない俺を支えてくれる優秀な臣下達。
王佐のフォンクライスト卿ギュンターと前魔王を母に持つ元王子フォンヴォルテール卿グウェンダル。
この2人が、へなちょこ魔王の俺の代わりに大量の書類を処理してくれている。
もちろん俺も全力でやってるけど……とても彼等の処理スピードには追いつかないし、圧倒的に政治の知識が足りない。
自分に割り当てられた書類へのサインを何とか今日も終え、寝る前の習慣である風呂に向かった。
「はぁ……ごくらく…」
魔王陛下専用風呂はだだっ広い。
手足を伸ばし、1日の疲れを癒す風呂は俺の大好物だ。
風呂は好きだがひとつだけ注文を付けたい。
スタツアはカウントダウンでもして欲しい。
ほら今だっていつもの如く突然引っ張られたおかげで、潜水には少し酸素が足りない。