BOOK(編集用)
□第1話
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冬のひんやりとした空気で目が覚めた。
「あ、起きた?おはよう」
彼女いない歴イコール年齢の野球小僧にはおよそ似つかわしくない朝。
女の子が朝ご飯を用意してくれている…。
いや、歳上なのだから女性と言うべきか。
とにかく、まるで新婚か同棲中の彼女かと錯覚しそうな風景である。
ドキドキを感じずにはいられない。
「顔洗っておいで。新しい歯ブラシ出しといたから。そこのタオル使っていいよ」
思春期男子のトキメキとは相反して咲さんに動揺の様子は一欠片も見受けられない。
これが年上の余裕というやつかそうなのか。
いやそもそも恋人じゃないから意識する方がおかしいのかも知れないが。