短編

□籠の中
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今日もまた暇だと嘆き畳の上でゴロゴロと寝転がる

俺以外いないこの時間が嫌いだ



早く帰ってこい、、、ばか

そう願い目を瞑る









「うぅ、、ふっ、、、うっ」
目の前の少年が俺に背を向けて泣いている

『だ、大丈夫か?』
この少年が誰なのか、なぜ泣いているのか全くわからない
けど、放っておけないと思い声をかけた

少「うぅ、うぅうわーん、、、っ」
話しかけたら余計泣かれた


『なぁ、いつまで泣いているんだ?』
頭を撫でながら声をかける
泣き続けても埒が明かないし、、


少「ぼ、僕がっ、、思い出せるまで、、」
嗚咽混じりに答えた少年

『なんか、忘れちゃったのか?』

少「僕が、、、誰なのか、どう、してここにいる、、のかを、忘れちゃったの」

それは、災難だな、、、

少「ねぇ、早く思い出して、、、僕が僕である時のこと」

『えっ』


そう言い振り向いた少年は、幼少期の俺だった









『はっ!!、、はぁ、はぁ、、』
目を冷ませば整わない呼吸、震える体をどうにかしたくて自身を抱きしめる


スーッと襖が開く音がして目を向ければ待ち人がいた
そいつは、俺を見て焦った顔をして俺に近づいた


『か、帰って、、いた、のか、、、三日月』
話しかけたものの声が震えて情けなかった

「どうしたのだ!?」

『夢見が悪くて、、』
ははっ、情ねー

そう言うと俺をぎゅっと抱きしめ、優しく頭を撫でてくれる三日月


「そうか、そんなに嫌なことなら」

いっそ、忘れてしまえ―――


そう三日月が言うと震えが収まっていく

『おぉ、震えが止まった』
「なら、よかった。あぁ今日は土産があるんだった」
『だ、団子か!?』
「はっはっは、そうだ」
『やった!早く食べるぞ!!』

急いで立ち上がり三日月の手を引き縁側へ出る

三日月を縁側に残し厨に向かう

こそには団子があった
美味しそうだなっ!!


急いでお茶の準備をして三日月の元へ向かう



『はぁ、やっぱり団子は縁側で日の光を浴びて食べるのが最高だな』

「そうだな、はっはっは」




、、、あれ?
俺なんか、忘れている気がする


「どうかした?」
『いや、なんか、忘れてる気がして』
「忘れてしまうほど些細なことなのだから気にする必要は無いのではないか?」
『それもそうだな』


そう言うと何処からか誰かの泣き声が聞こえた



―――うぅ、また、、思い出して、、くれ、ないん、、、だね


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