天高く舞う獅子 aoex
□第二話:里帰り
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「お待ちしておりました!」
正十字騎士團日本支部御一行様
そう大きく書かれた紙をもつ黒髪の男性と挨拶を交わすシュラ。
どうやら逗留先へは用意されたバスで移動するらしく、青い空にそびえる京都タワーを望んでバスへと乗り込んだ。
「ようおこしやす」
どうやら逗留先は正十字騎士團の貸切らしく、柔和な笑顔で出迎える女将さんに團員達が挨拶をしていった。
と、團員が入りきった後に続いてどこか険しい顔つきの勝呂たち候補生が入っていく。
それもそのはず…
「坊!坊やで!」
「ようお帰りにならはった!」
「こらめでたいわ!女将さん呼んで!」
彼にとっては思わぬ形での帰省となったのだから。
やめぇ、里帰りやないで!と吠えるも活気付く従業員達は聞く耳を持たないのか、やんややんやと騒ぎ出す。
「竜士!」
従業員に呼ばれたのか、息を切らして走ってきた女将さんに名前を呼ばれ、思わずぐぅと唸る。
感動の再会…かと思いきや
「アンタ………ついに頭染めよったな…!!」
カァッと柔和な顔からまるで般若のような顔で怒る女将さんと気合やと言い訳する勝呂に呆然する数名の候補生と、やはりと呆れ顔の幼馴染達。
このままでは収拾がつかない、と後ろで控えていた零がひょこりと頭を出す。
『女将さん、零です。ご無沙汰してます』
「零ちゃん…!アンタ…、5年間もどこ行ってはったん…!?」
思わぬ再会に先ほどの勝呂のように目を見開く。
『いや、はは…こうしてまた会えてホンマ嬉しいです…ご心配おかけしました』
頭を掻きながらそう言う零にえらい別嬪さんになって…といいながら近寄ると、それに続いて子猫丸と廉造が挨拶をする。
「まぁまぁ、子猫ちゃんに廉造も…竜士のお守り大変やったろ…!」
そう言いながら後ろの面々に気づくと先ほどの柔和な笑顔で竜士の母です。と挨拶をした。