テイルズオブシンフォニア
□シルヴァラント編
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神子が既に出立しているのなら向かうのはまず砂漠の街トリエットだろうと思って寄ったのだが、出会うことは無かった。とりあえず宿を取り旅の休息を取った。
『……さて、行くか』
宿を出てすぐの所だった。
『おや、』
「どうしよう…」
先日の銀髪の少年、ジーニアスが居た。
そしてその横には、ノイッシュがいる。
私に気がついたノイッシュはクゥーンと鳴き勢いよく突撃してきた。
『うお、なんだい?どうした?』
「クゥン…」
すりすりと頭を擦り付けてくるノイッシュに困惑していれば、ジーニアスが慌てて駆け寄ってきた。
「こら、ノイッシュ!すみません!……って」
あっ!とジーニアスが呟いた。
「えっと、…エルフの!」
『うん、そうだね、《エルフ》の少年?』
そう言えば、ジーニアスはばつが悪そうに目を反らした。
「それは…その…」
『ふ、何か事情があるのだろう?まあ、君らには生きにくい世だからねぇ』
それよりも、だ。
『ところで、連れ合いの少年はどうした?』
「そうだった!どうしよう!」
ジーニアスはアワアワといった様子街の外の方を見たり私を見たり繰り返した。
『落ち着け少年』
そう言って肩に手を置くと、少年は大きく息を吸った。
『何があった?』
「そ、それが…ロイド、ディザイアンに拐われちゃって…!」
『ディザイアンに?』
「う、うん」
何故…?
……いや、昨日イセリア牧場にちょっかいだして村を焼かれたのだから、そのまま追跡してきた可能性があるのか。
『イセリアの人間牧場に連れていかれたのか?』
「ううん、牧場じゃないよ!砂漠の中の変な建物に連れていかれたんだ。ボクはその前で逃がしてもらったんだけど…」
『同族のよしみで、か…』
そう言いえば、ジーニアスは控えめに、うん…と頷いた。
しかし、牧場じゃない変な建物か……。新たな施設を作ったとは聞いてないが…。
『助けに行くのか?』
「そうしたいけど、ボクひとりじゃ……」
『ふむ。……協力、しようか?』
「え!ほ、ほんとに!?」
ああ、と頷きジーニアスの頭を撫でる。
『《同族》のよしみだ』
「も、もう!」
ジーニアスはプクッーと頬を膨らませた。
『だが、自分と君だけで潜入するのは些か危険だな。作戦を考えねば……』
「あ!」
『どうした?』
姉さん!とジーニアスが叫んだ。
『姉が居るのか?』
「うん。姉さんは今、コレットの……ええっと神子の世界再生の旅に同行してるんだ。それには強い傭兵のおじさんも一緒だし……」
くくっ、傭兵のおじさんか。いいね。
『神子が世界再生の旅に出たのはいつだ?』
「僕らが追い出された日の朝だよ!」
ふむ。それならまだ近くにいる可能性もあるのか。
『よし。ならば少年探しに行くぞ』
「うん!」
握った箒を浮かせてそれにまたがる。
『自分の後ろに乗れ』
「え?あ、うん」
私の箒の後ろにジーニアスは跨がった。
『よし、飛ぶぞ!』
「わ、わわわ!飛んだ!」
しがみつくジーニアスに笑みを溢して、私は箒を南に向かって飛ばした。
少年の協力者
まあ、神子が向かうのは恐らく彼処だろうから、トリエットから西を探そうか。