ルミナリア

□マクシム・アセルマン
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触れて当たるは(1/1)※R15くらい
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「うーむ……」

僕は現在、本を片手に頭を悩ませている。
別に本の内容が難しいとかそういった話でない。
僕はが悩んでいる問題、それはベッドの上でこのマクシム・アセルマンを己の膝の上に乗せ腕でがっちりとホールドしているナマエ先輩である。

先輩曰く落ち着くからとこの体勢なのだが、その、背中に柔らかな感触があり僕は全く落ち着かない。
先輩からすればぬいぐるみを抱いてるような感覚なのだろうけれど、僕だって男なのだから、その、色々と煽られる。
そういうわけで先ほどから本の内容が一切入ってこないのである。

『先ほどからページが進んでいないようだけれど?』

先輩は僕の肩に顎を乗せ、後ろから本を覗き見ている。

「……ナマエ先輩のせいなんだがな」

持っていた本を閉じて、横に置く先輩はふぅん?と僕の耳元で呟いた。

『私のせいねぇ?』

そう応える先輩の声は、新しい玩具を貰った子供のように明るいものだった。

「ああ。先輩のせいで今日も話が進まないんだからな…!」

そう言って、彼女の方に腰を捻り振り返って見れば、それが合図と言わんばかりに先輩が僕の頭に片手を添え唇が重ね合わされた。
腰も頭も押さえられ先ほどよりも逃げにくくなった状態で先輩は、僕が呼吸の為口を開けた瞬間を見逃さず舌を侵入させてきた。

「む………、んぅ……」

先輩の舌が僕の口内をくちゅくちゅといやらしい水音を立てながら荒らして、逃げる僕の舌絡めとる。

「……んっ………ふ………、………っ、はっ、」

唇を塞がれて呼吸もだが、体勢も苦しくだんだんと頭がぼんやりとしてきたところで、先輩はつぷり、と糸を引いくように舌を抜いて、僕の口の端から垂れたどちらのものか混ざりあって分からない唾液をペロリと舐めとった。

「はぁ……っ、は…………」

何度体験しても、中々上手く呼吸が出来ない。鼻でするのもだと頭で分かっていても、口内で絡まる舌の対応でいっぱいいっぱいなのだ。逆にナマエ先輩はいつも余裕そうで、ずるい。

ナマエ先輩は、満足気にふふっと笑って、僕を膝の上に乗せた時と同じように僕の脇の下に手を回し持ち上げた。……先輩が力持ちなのは知っているが、体格の変わらない女性に軽々と抱えられるのは複雑な気持ちだ。
そんな僕の思いなんか知らない先輩は、向き合うような形に僕を座らせ直した。
さっきよりも子供が母親にしてもらう抱っこ感が強くて、恥ずかしいんだけどこれ……。

『マクシムくん可愛い』

酸欠でか、それとも羞恥からか、恐らく赤くなっているだろう僕の頬に手を添えて、今度は先ほどとは打って変わって、触れるだけのキスを唇に落とした。

「ん、」

すぐさま離されたそれに少しばかりの寂しさを覚えていれば、ナマエ先輩は、くす、と小さな笑い声を上げた。

「な、なんだね」

『いや、物足りないって顔してたから』

「それは……!」

簡単に見透かれていて、実に面白くない。
むくれた僕を見て先輩はまた小さく笑い、自身の唇を人差し指でトントンと叩いた。

『マクシムくんからはしてくれないの?』

「なっ……!!」

僕からだって!?確かにいつも、こういった行為は先輩からだが……。
でも、そうだよな。本来なら男である僕がリードすべきところだ。うむ。やり方はさっき先輩がしたようにすればいいだけだしな!何も問題はない。

左手をナマエ先輩の肩に置いて、右手を頭の後ろに伸ばす。そうすれば先輩が瞳を閉じたので、僕はゆっくりと顔を近づけた。

よ、よし。やるぞ。

触れて当たるは
カチリ、と歯がぶつかって先輩に爆笑された。
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