長編

□受難
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 受難


ばーん!


「ルーク!ルークはいるの!?」

「ううー……!」


いきなりルーク様の部屋に現れたのは、金髪の少女であった。ルーク様と同じくらいの年齢のように見える。


「あの、お嬢様。一体何の御用でしょうか」


なぜか怯えるルーク様を庇うようにしてそう言うと、少女は私をキッと睨む。


「お嬢様?あなた、見かけないわね。私の事を知らないとはなんて人なの!」


その少女がそう叫ぶと同時に、ガイさんが来る。


「おい、ナタリア!いつも勝手に来るなと言われているだろう!」



ガイさんの言葉に、顔面真っ青である。



金髪でナタリア、ルーク様に向かって敬語をつけないほどに親しく、地位のある人物といえば、この国の王女のナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア様しかいない!



「だって、私が頻繁に会えば、ルークが思いだすのではないかと思いついたのですもの」


ガイさんに対してツーンとするナタリア様。その言葉には一理あるとも思うが、彼女は一応この国の王女である。


こんなにバタバタ走ったり、言いつけを守らなかったり、という点に関しては、感心しない。



それに、ルーク様は怯えている。


ここは一度、お引き取り願いたいところだ。





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