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□Act.16 田舎村娘と長髪戦士様と愉快な冒険譚
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注意:異世界
Act.16 田舎村娘と長髪戦士様と愉快な冒険譚
「ほ、ほげぇ……」
初めてやってきた王都は、私にとって衝撃の一言だった。
馬が車を引いている?!人が魔物のようだ?!洞窟より大きい家?!
「って、わ、わぁっ!?」
思わず周囲を見ていた私は、後ろの人に思いっきり引っ張られ、バランスを崩す。
「ったく、おのぼりさんかぁ?このあたり、交通量多いし、気ィつけねぇとだぜ?」
「へ?ああっ、助けて下さったんですね?!あ、ありがとうございますぅ!!」
バランスを崩したものの、その後ろの人に支えられていることに気付き、そこで私はようやく助けて貰ったんだと気がついた。
なんだ、王都はおっかない人ばっかりだって母さん言っていたけど、ありゃウソだったんだなぁ。
しかも、この人、イケメンだ。赤毛で翠の瞳が、とても綺麗。
ぼんやりと彼を眺めていたら、彼は急に悪い顔になる。
「……へっ、俺が悪い奴だったら、今頃お前は奴隷だな」
「な、な、なっ……?!」
疑ってごめんなさい母さん!
王都はおっかない!
助けてくれたかと思えば、人を売るだなんて!
「……ぷっ」
「……ぷ?」
「ぷっはははははは!!どんな田舎からやってきたんだよ!くはは、奴隷なんて昔の話だっつーの!」
……どうやら、田舎者としてからかわれたらしい。
母さん、王都はおっかないです。
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