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□Act.11 学生と御隠居と雑談
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注意:現代・トリップ
Act.11 学生と御隠居と雑談
「ルーク先生、先生」
「俺を先生と呼ぶなよ。そんな大層な人間じゃねえんだから」
夏休みを利用して親戚の家に遊びに来ていた私は、近所に住むルーク先生と知り合った。
「何故です、ルーク先生は素晴らしい本をいくつも出していらっしゃるではありませんか」
ルーク先生の著書から、とても崇高な考えを持つ方だとイメージしていたが、実際の彼は自己評価が低く、ネガティブで、物静かな人だった。
「そんな事はない。
俺はずるい人間だ。
ナナシ、俺に気を使うなよ」
「気を使ってなんて……」
ルーク先生は時折、疑心暗鬼だったり、たまに私を追い返したりする。
「じゃあ、どうしてナナシはここへ来る?」
「それは、ルーク先生のお話を聞きたいからです。学生なんて、いつも暇ですから」
「俺の話を聞いたって、楽しくともなんともないさ」
ルーク先生はそういうと、今日は部屋にこもってしまった。
だが、彼の話は心惹かれるものがあった。
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