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□Act.9 お嬢様と短髪執事とドタバタコメディ
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Act.9 お嬢様と短髪執事とドタバタコメディ
「ナナシお嬢様〜!ナナシ様〜!」
必死に私を探すルークの声が、屋敷に響く。
「おや、呼ばれていますよ?」
「そう言っても、ジェイドさんは私を匿ってくれるんでしょう?」
父の古い友人だというジェイドさんは、今は客人として父がもてなしている。
そんな彼の部屋にお邪魔している私は、彼とお茶をしながら、のんびりと会話を楽しむ。
「それはもちろん、貴方の父上には昔からお世話になっていますからね。
彼の娘である貴方の望みくらい、叶えてあげますよ」
「そうね、貴方ほどお優しい方はいませんわ。
……そろそろルークも疲れた頃でしょうから、失礼いたしますわ」
ちょっとの皮肉を残して、私は部屋から立ち去った。
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