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□Act.6 妻役と夫役とドラマ
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注意:現代・社会人・芸能
Act.6 妻役と夫役とドラマ
「俺は、俺は、悪くねぇ!」
「カット!流石だな、ルーク」
ピオニー監督の一声で、現場がほっと一息つく。
「流石でした、旦那様」
「おいおい、役から抜け切れてねーぞナナシ」
あ、もう撮影は終わっている。
「はっ、これは失礼ルーク様」
「微妙に残っているし!ナナシってかわ……面白いな」
ルークさんはそう言って笑った。
は、恥ずかしい……!
「ルーク、この後スタッフさんと出演した人たちで飲みに行くけどどうする?」
「ティア。えっと、俺は……」
そう、ルークさんや私、ティアさんは役者なのです。
今回はドロドロの修羅場ばかりなドラマの撮影なのです。
「ねー、人数決まんないの?とりあえず多めに予約するけど、大体の人数は把握したいんだけど」
アシスタントのシンク君がやってきた。
彼は兄弟がたくさんいるらしく、若いのにもうバリバリに働いている。
そもそも、飲み会の話だけど、本当にどうしよう。
だって、実は……。
「ゴメン、俺ナナシを送っていかねーと。またな!」
「ちょ、ルーク?!それにナナシも??」
「え、ナナシさん!……仕方ないね、あの主演二人がいないのはアレだけど、とりあえず予約してくるよ」
そんな言葉を後にして、私はルークさんの後を追った。
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