長編
□邂逅
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「はい、どうなされましたか?」
そう言って開けると、先輩であるガイさんがいた。
「げ、ナナシ」
「……はい、ナナシですが」
私はガイさんが苦手である。
私より1歳上であるため、年齢は近いのだが、彼は女性恐怖症らしく、私を見る度悲鳴を上げる。
それに、ルーク様を見る目が時々怖いのだ。
「いや、その、なんでもないんだ。ルークの世話、いつもお疲れさん。それじゃあな!」
すぐにその場を立ち去ったガイさんに、ホッと安心する。
「ナー?」
「なんでもありませんよ、ルーク様。では、私と遊びましょうか」
「あい!」
そして、私はルーク様と遊びながら、体の動かし方も教えようと思っていた。
***
その時の私には、ルーク様しかいなかった。
家族への手紙を書くも、そうそう返事は来ない。
また、白光騎士団のおじさんは副団長であるため、お忙しい身である。
職場の人(上司や先輩)は、年齢が離れているし、私はルーク様につきっきりなので、あんまり仲良くなる機会がない。
ガイさんはルーク様と幼馴染だそうだが、私が世話係となってからあまり近寄ろうとはしてこない。
そんな中、嵐が訪れる。
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