王道学園物ブック
□腹黒い?何の冗談ですか?
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どうやらあの少年はマゾではなかったらしい。あの後理事長室に連れていく間なぜあんな事言ったのか、ツンデレなのかと聞かれたものだ。私は少し苦手ですが、ある意味この学園には異色の転校生でした。
まぁそれは今は置いておきますね。ピンチなんです。
「副会長が転校生と何かあった!」
なんて会計が言わなければ良かったんですよ。僕があの後溜め息ついてあんな事言わなきゃ良かったと後悔してる間にそんな事言い始めて。会長も書記も庶務もなんか興味あるような事言ってたし今日は食堂に行く事になりました。まじでふざけんな。
あんな事言ってまた会えますか。私には無理です。そんな鋼の精神私は持ち合わせていません。むしろ逆、飴細工です。なんとかして私はこの危機を乗り越えなくては。そんな私が言った言葉は実に簡単な事でした。
「だ、だめです!あ、あの子に会えばきっとあなたたちも惚れてしまいますから!」
「え、副会長が惚れる相手?尚更会いたい...!」
そんな言葉も逆効果だったらしいですね。言わなきゃ良かった。庶務。そんな好奇心捨ててしまいなさい。
しかし、私以外の生徒会で行くとなると私の知らない所であの転校生は私の事を喋ってしまう可能性があるのでそれは駄目なんです。
それならば行って役員達を興味無くさせてもう会わなきゃいい話。一時の気の迷いだったと言って。転校生も脅せばいい。あんな軽はずみな行動の後始末がこんな大変になるとは思いませんでした。
「なら!絶対惚れないでくださいね!今日会ったらそれ以降話さないこと!」
「へぇー。うちの副会長は転校生にベタ惚れってか?」
会長がニヤニヤしながら返事をしてくる。いや、あの、あんなマゾ、じゃなかったんですね。あんな得体の知れない生き物こっちからお断りです。
という会話が今朝あり、今は食堂です。
今が人生の山場と言ってもいいほどの山場です。ただ単に今までが谷すぎたんですけど。まぁそれも置いときましょう。転入生君の周りには一匹狼として知られている北野砦とサッカー部爽やか代表の森谷優四郎がいました。友達ができて何よりです。と思っていたけれどなんか視線がいたい。
「あ!お前今朝のやつじゃん」
「ああそうですね。今朝ぶりですね」
少し雑な言い方になってしまったのは謝りたい。しょうがない。あれに触るのは私のポリシーに関わります。せめて明日でもその汚染されたマリモをどうにかしてほしいですね。この時のためにメモを持ってきました。もちろんマリモ君にです。ラブレターじゃないですよ。あれです。絶対頭洗って来てください。そしたらこちらも助かります的な文面です。
私が言うのもなんですがこれもらったらちょっとショックです。さすがにきれいにしてくるでしょうね。
「転入生君。これ。誰にも見せず、後で見てくださいね」
うっとりするような声色で言うとさらに周りの視線がいたくなる。こればかりは転入生君に謝ります。