王道学園物ブック

□会長は危ない子
2ページ/4ページ

一体これはどういう事なんだろうか。元から大して仲が良くなかった生徒会役員は今はある1人の人物を囲み今まで見た事もないような笑顔で笑っていた。食堂から帰ってきたかと思えばずっとこんなだ。瑞希も転校生について帰ってきた。

しかしその囲まれているやつを見てまた驚愕した。牛乳瓶のような眼鏡にモジャモジャした頭。悪い意味で目立つそいつは一般生徒のはずだ。それなのに生徒会役員と顧問、風紀以外立ち入り禁止(役員が許可すれば一般生徒でも入れるが未だ入れた事はなかった)の生徒会室にさも当然のようにいる。


「おい。瑞希。そいつ一般生徒だろ。まだ授業もあるはずだが」

「えぇ。でも私が許可しました」

「理由は」

「仕事が捗るからです」


どうみても仕事が捗るどころか仕事が疎かになっているその事態に叫びたくなる。


「み、未研...ごめんなさい」

その転校生はその見た目とは似合わないいきなりの名前呼びと敬語だった。

俺はいつも1ヶ月は余裕をもたせて仕事を終わらせていた。生徒会の仕事が遅れたなんて少しでもなると学園が傾くくらい生徒会の仕事は大切だと記憶している。それをこいつらは分かっているのか。


「瑞希、藤堂、心愛双子。お前ら今日の書類終わってないんだろ。今やっとけ」

「私会長のそういう所気に入らないです。そんなもの部屋でやります。今矢那(ヤナ)と話してるんですから会長は向こうの部屋行っててください。矢那が会長ばっか話しかけてて私の相手してくんないんですよ」


あっちと指を指したのは仮眠室。さすがに腹の中真っ黒のやつでも会長に生徒会室を出てけとは言えなかったようだ。遠回しに出てけと言われたようなものか。


「いや、いい。俺は部屋でやる」

「そうですか」


隠す気のない嬉しそうな顔にイラッとする。こいつ、なんで今日は無駄に、嫌に素直なんだか。がちがちの笑顔だった昨日までのこいつは少なくとも会長である俺に慕うフリはしてたんだけどな。大方矢那とやらにとやかく言われたたんだろうな。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ