王道学園物ブック
□会長は危ない子
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カタカタとキーボードを打つ音だけが響く。そんな中、こんな事言わなければならないのは少々気が引けるが...
「よく聞け。今日外部生が来る」
短く簡潔に済ませる。俺は遑(イトマ)高等学校生徒会会長、奧羅花未研(オクラカミトグ)。
「あ、はい。前に聞きました」
それに答えるのは生徒会副会長瑞希千春(ミズキチハル)。他の役員達は珍しく仕事に集中しているようだ。
「...案内瑞希お前行け」
「え、は、はい?寝てる会計に頼めばいいんじゃないですか?」
「理事長からの伝言だ。必ず副会長をつけろと」
絶対に副会長でなければならない。その意図は未だに分からない。が、理事長の甥ということだから1番信頼を置ける副会長に頼んだのかとも考えたがそれでは会長である俺はどうなんだと考えてしまう。
「はぁ...分かりました。そういうことでしたら行ってきます」
キィーッとドアが閉まるとまた静寂が訪れる。会計は今日の分の仕事が終わったので仮眠室で寝ている。その他役員は新入生歓迎会の事や体育祭、夏休みと、結構先までの書類にも手をつけ始めている。会長である俺は提出された書類を見直す。特に直す箇所もないのだが、たまに根本的に間違っているものもあるから困る。
「おい、憂花(ウイカ)。昼だ」
「んん...ふぁ〜っ......会長じゃん...」
未だに寝ぼけてトロンとしている会計を無視して書記に聞く。
「瑞希はまだか」
「...」
生徒会書記の藤堂道陰(フジドウミチカゲ)は首を横に振る。外部生案内するだけであいつはどのくらい時間がかかるんだよ。と思いながらため息をつく。この際瑞希は無視だ。完璧主義のあいつが案内失敗するはずもないので気にしなくてもいい。まず案内とか失敗するかって話だけどな。
「ねー会長ー俺今日食堂がいー」
会計が眠い目をこすりながら言ってきた。今日の分しかやらなかったやつが何言ってんだかと思ったが顔には出さない。
「勝手にしろ」
「えー...会長来ないのかー」
「僕も食堂行くー」
「紫炎(シエン)が行くなら僕もー」
「...コクコク」
ここで行くって言うのが空気読めるやつなんだろうが俺はまだ仕事がある。外部生の寮の手続きを早急にしなくてはならない。
「俺は残る」
「もー会長KYー。ま、仕事がんばってー」