「個性的な彼らの、日常風景」

□買い物と、ハプニング
3ページ/4ページ


「……………これくらいで充分かな。」

買い物をすませて待ち合わせの道へと戻っていく。

「(少し時間がかかっちゃった。……早く戻らなくちゃ。)」

重みのある袋を両手で持ち、少し早足で歩いてゆく。
……すると、路地で人とぶつかってしまった。

ドンッ

「っ……、ごめんなさい。」


「あぁ、こちらこそごめんね。お嬢ちゃん、一人?
ーーずいぶんと重そうだけど、大丈夫かい?」


顔を上げると優しい雰囲気を漂わせる、その男と目が合った。
ーーーこの人、なにかがおかしい。

「こっちにおいで。運ぶの、手伝ってあげるよ。」

ニコ、と笑う彼が一歩近づく。距離をとるように私も一歩後退る。


「もしかして、僕のことが怖いのかな?
アハハ、初めて会った人に手伝ってあげるなんて言われたら確かに怖いよね。
ーーーでも大丈夫、僕はただ君を手伝いたいだけなんだ。」


ゆっくり、ゆっくりと近づいてくる男に、距離を保ちつつ逃げる道を考える。

「(ーー逃げなくちゃ……!
どうする、どう逃げる?荷物を持ったまま逃げ切れるとは思えない……。)」

目の前の男と、思考を巡らせることに集中する。
ーーーしかし、それがいけなかった。


ドン

「……………!(壁…。後ろを確認してなかった……!)」


「ほら、大丈夫。大丈夫。
怖くないよ、逃げる必要なんてない。

ーーーさぁ、こっちにおいで………?」


コツ、 コツ、 コツ、


ニコ、と笑いながら、男はゆっくりと近づいてくる


コツ、 コツ、 コツ、


こちらに手をのばすのが見える中、私はゆっくりと目を閉じた。


コツ、 コツ、 コツン…


「さぁ、………やっと、近くに。」






「僕のレイチェルに、何してるの?
ーーーオニイサン。」

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ