short
□振り向いた先鼻血を垂らす君を見つけて大笑うまで、後、5秒。
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「エクスペリアームス!!」
「ディフィンド!!」
「アヤメ!!!!」
必死で駆け寄る綺麗な赤毛と、慌てて走り去るブロンドの髪、それを追いかける黒い髪が見えて、それからふわふわした栗色の髪が私の視界を覆ってすぐに暗闇に落ちた。
目が覚めて今の夢を思い出そうにもすでに思い出せなくて所詮は夢だものと諦めた。
周りを見ると天井から、カーテンから、私までミイラのように真っ白で驚いた。
無理に起こした体は
ズキズキと悲鳴を上げて、思わず眉間にシワを寄せた時にふと気がついた。
「あれ、・・・私はだれ?」
自分のつぶやいた声に反応するように右手がぎゅっと握られる感覚がしてそちらに目をやるときれいな赤毛がそこにあって、顔は見えないけれどどうやら眠っているようで思わず反対側の空いてる手でそれをそっと撫でた。
「キレイ・・・」
「ん・・・ぅ・・・」
起こしてしまったか、慌てて手を引っ込めると綺麗な赤毛はまだ眠たそうな顔を上げて、繋いでいない手で顔を何度か撫でた。
「んー・・・・・」
「あの・・・」
「あ!アヤメ!良かった目が覚めたんだね!もう僕本当に生きた心地がしなかったよ。待ってて!ハリーもハーマイオニーもすごい心配してたんだ!今呼んでくるから!!」
「待って!!!」
待っていかないで、一度話された赤毛の彼の手を掴んでもう1度小さくつぶやくと「大丈夫だょ、ずっといなくなるわけじゃないんだからさ」と彼ははにかんだ。
誰かがいてくれないと、気が狂いそうだ。
「わからないの・・・」
「え?」
この場所も、私も、あなたも
「私、何もわからない。」
「・・・何もって?」
「貴方・・・誰?」
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