short
□You love because you
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「ママ!俺に手紙届いてなかった?」
「いいえ、ジョージちゃんもう10回目よ?来てないわ!」
「そっか、」
もう何回目か忘れたな・・・
あ、ママが10回って言ってたっけ、
ママに手紙が来てないか確認したって答えはわかってる。エロールのことだしね。
ため息をついて窓から遠く遠くの空にふくろうを探してみた。
「ねぇ、ロン。ジョージは誰からの手紙を待ってるの?」
向こうの方でハリーの声がやんわりと聞こえた。
大事な恋人さ!
なんて陽気に答えてあげたいとこだけど実は昨日の最後のやりとりで明らかに彼女に何かあったんじゃないかって思って心配でたまらない。
悪いなハリー。心の中でつぶやいてどうせロニィ坊やが俺の代わりをしてくれるだろうと窓の外を見たまま、耳だけを向けた。
「あぁ、ジョージのやつ恋人からの手紙を待ってるんだよ、毎日毎日」
「まぁ、文通なんて素敵ね」
「そんなにいいもんじゃないんだ。来ないといつもあぁやってるか、フレッドと悪戯してるかの、どっちかさ。」
「悪戯なんて今に始まった事じゃないでしょ?」
そうさ、ハーマイオニー。
相棒と悪戯をしているのは今に始まったことじゃない。念願叶って店まで出してるんだ!喜ばしいことだよ。
もっと言えば文通の善し悪しをわかってるなんて、流石はハーマイオニーってとこだな。
後で素敵な悪戯商品を内緒で譲ってあげよう。
そう心に決めた時
玄関の扉を控えめに叩く音が聞こえた。
「フレッドちゃん!ちょっとそこにいるなら出てくれるー??」
「はいはいー」
玄関に近いソファに腰をかけて、悪戯を考えていたフレッドにキッチンから鼻歌を歌っていたママが声をかけた。
フレッドは、俺と目を合わせると肩をすくめてみせた。俺も同じように肩をすくめて返す。
はーぃどちら様ーと陽気に扉を開けたフレッドの方から、ドサリと荷物が地面に落ちる音と、わぁっと相棒の上げた声それから一番聞きたかった声が聞こえた。
「会いたかった!朝から貴方に手紙を送ったんだけど、エロールの事だからまだ来ていないと思って!びっくりさせたのよ!!ね、やっぱり来てなかったでしょ、びっくりしたわよね?!あー会いたかったわ!!」
フレッドよりも背の低い彼女。
艶やかな金色の髪
整った顔
大きなコバルトブルーの瞳。
大好きなクシャクシャの笑顔。
今気にかけていて
ずっと会いたくて
本当ならすぐに抱きしめたかったのに。
相棒がなんとも複雑そうな顔で俺の方をちらりと見て、そっと彼女を引き離してこっちを指さした。
「アヤメ久しぶり!俺はフレッド。会いたかった愛しのジョージは向こうだぜ?」
「え、ぁ・・・あら!やだ私ったら・・・ごめんなさいフレッド。ぇと、その久しぶりね!」
「元気そうだな!ほら俺はいいから、早くジョージのところに行ってやってくれ。睨み殺されそうだ(笑)」
恥ずかしそうに頬を染めて、そうね。なんてフレッドに笑いかけて荷物をもう1度持ち上げようとする彼女に近づいてこちらから抱きしめた。
「わぁ!っジョージ!!あの、ごめんなさい。私早くあなたにっ・・・」
わかってるさ、
相棒との区別がまだついてないのだってわかってるさ、
伝えたいことは山ほどあるけど
今はこれが一番言いたかった。
「会いたかった・・・。」
「ふふ、私もよジョージ!!」
きつく体を抱きしめて、彼女の首筋に顔を埋めると甘くて優しい香りがして頭がクラクラしそうだ、
アヤメはクスクスと笑って俺を抱きしめ返した。
「おっほん!」
ロンがわざとらしく咳払いをしたおかげで、頭のクラクラもすっかりどこかへ飛んでった。
2人でちょっと赤くなってしまった頬を、うつむいて隠していた。ハーマイオニーの素敵ね・・・なんて呟く声に髪と同じくらい顔が赤いんじゃないかとドキドキする。
「ジョージ、その人は誰?」
「えー、こちらはアヤメ・ナターシャ。俺の彼女さ、ロニィ坊やは会った事が無かったか!アヤメ俺の弟と、ハリーとハーマイオニーだ。」
そうアヤメとロンたちに紹介して、「ママに知らせてくるよ」なんて彼女をソファに座らせてスキップが出そうなほど高らかに足を上げてキッチンへと向かった。
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