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□振り向いた先鼻血を垂らす君を見つけて大笑うまで、後、5秒。
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「おそらく衝撃が強すぎて頭を打った時に記憶がなくなったと考えるほかありませんね。誰か忘却魔法を使ってなければですけどね。」

「そんな使ってなんていません!あの時は・・・あ、いえ、その。とにかく!!・・・治るんですよね?先生・・・」

「こればっかりは薬では治りませんよ。戻るか戻らないかもはっきりとは言えませんね・・・この事については私から校長先生に伝えておきましょう。」

「・・・そう、ですか・・・」




これは私のことを話している。
どうやら魔法に当たって倒れた時に頭を打ち付けて記憶が飛んでしまったらしい。戻るか戻らないかも曖昧らしくて医務室の先生とハーマイオニー・・・って言ったかな?彼女がひどく落ち込んでる。どうやら親しい友達のようだ。

だけど当事者の私は、何もかもよくわからなくてそれなのに言葉を理解してるもんだからとても変な感じがする。
だいたい魔法に当てられるなんて、私はその時何をしていたんだろ。。




赤毛の彼たしか、ロン・・・は「貴方・・・誰?」って聞いてからずっと難しい顔をして私に近づいてこないし、隣のハリーって彼と何か小声で話してるけどよくわからない。


あのあと、


「あの、えっと・・・まず僕・・・そうだ!まず。先生を、うん、マダム・ポンフリーを呼んでくる!だから君は横になって待ってて!!!!」

そう言って走っていった彼に言われたとおり横になってしばらく待った。
マダム・ポンフリーと呼ばれた先生が来てしばらくした後に、酷い言い方をすれば死人のような青白い顔でハーマイオニー、ハリーを連れてロンがやってきた。みんなも似たような顔をして私の名前と彼らの名前を教えてもらった。

マダム(先生が生徒がそう呼ぶと教えてくれた)は、しばらく私に質問をした後眉間にシワを寄せて考える仕草をして冒頭の言葉をそこにいる全員に向けて放った。



「えーと、ハーマイオニーさん心配かけてごめんなさい。」

「やだアヤメってば、ハーマイオニーって呼んで欲しいわ。それにあなたは悪くないの・・・」

「ごめんなさい、本当に何も覚えてないの」



申し訳なくて彼女の顔を見ることが出来なかった。昨日までの私は彼女とどんなふうに話していたんだろ。
どうして何がなんだかわからないのに、私は今ここにいるんだろ。目を閉じると、早く思い出さなきゃならない大事な人もいるような気がするけれど姿形さえも曖昧で全くわからなかった。



「アヤメ」

「えーっと、ハリー・・・さん?」

「僕も、向こうのロンも呼び捨てで構わないよ。」

「ハリー。心配かけてしまってごめんね。」



そう言ってチラリと向かい側のベットに座っているロンを見た。

「あ。」

目が合ったのにそらすなんて。
でもそれだけなのにムカッとしちゃうなんて私らしくない。



「ねぇ、ハリー」

「どうしたんだい?」

「ロンって恥ずかしがり屋なの?」

「え?どうして?」

「記憶がないとはいえ、あーんなあからさまに避けられたらすごくムカつくわ!」



そう言ってロンにベーっと舌を出してやったら、ハリーとハーマイオニーまでがケラケラと笑った。




「良かったわ!あなた記憶はなくなっても根本は変わらないわ!!」



ハーマイオニーの言葉はよくわからないけど、ロンの顔を見ると舌を出してやったっていうのにニコニコしてなんだか嬉しそうで思わず「あ、可愛い」そう思った。




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