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□猫と私A
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コツ、コツ・・・






誰もいない廊下をコソコソと歩く私は今、透明人間だ。なんて言ったってハリーに透明マントを借りてしまったのだ(笑)


「ハリーには今度何かしらのお返しをしてあげないと。」


ボソボソと自分に聞こえるだけの声量で話すと、ようやく中庭が見えてきた。目的は中庭で昨日の猫に会うこと。自分の空間で初めてした約束を果たさないわけにはいかない。例え授業をサボっても(笑)

ウキウキしながらも慎重に歩いていれば中庭のいつもの場所に誰か人の影が見えた。驚きすぎてサッと隠れて思い出す。


「私今透明なんだ(笑)近くまで行けるかな・・・見てみよ。」


たまにはこういう事もいいかな・・・ふふん。誰だろ私と同じくおサボりしてる人がいるなんて。そおっと近づいた私は、珍しくこんな事しなければよかったとその人物とこれから起こる出来事を知ってそう思った。





「・・・え?ジョージ・・・?」

「やっぱりまだ来てないよなアヤメ。今のうちに変わっておけばいいか・・・」




変わる?来てない?
なんで私がここに来ることジョージが知ってるの?誰にも言ってないのに、猫のジョージ以外誰も知らないのに・・・


考え込んでいる私の目の前でジョージは、ポケットから可愛らしい包を取り出すとコロンと口の中に放り込んだ。



「え・・・なんで!!!?」

「アヤメ!!??」



小さくなって別のものへ姿を変えるジョージに思わず声を上げてしまった。
私の名前を呼んでびっくりしたジョージの顔は私のよく知る猫だった。


透明マントを脱いで猫へと近づく、にゃーにやーと慌てたように鳴いている猫は昨日約束をした猫のジョージそのものだった。



「あなた・・・ジョージだったの。」

「にゃー!にゃーにゃー!!」

「そう・・・また。
また私を騙しに来たのね!どうして・・・?どうしていつもこんな事ばかりするの・・・ジョージ。」



未だにゃーにやーと鳴くジョージをキッと睨み付ければ自分が馬鹿らしくなった。
私自分で思ってたんじゃない。
ジョージに似てるなって・・・だから名前つけたのに。



「馬鹿みたい・・・」



それ以外に他になんて言っていいのかわからなかった。というより何も出てこなかった。下の方で私の足を懸命に掴みながら鳴いている、猫になったジョージをひとつなでて、そっと足から剥がすとゆっくり歩いて談話室へと向かう。


足元で聞こえる猫の鳴き声は、どういう感情も湧いてこなかった。
すぐに戻らないところを見れば時間の制限があるのかもしれない。

けど今はそんな事もどうでもよかった。とにかくどうにかこの場から消えてなくなってしまいたくて。
ただ一人になりたかった。




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