軍豆物語

□軍豆物語B
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「エドワードくん、お電話ですよ。」

あまり知り合いは多くはないものの、時々自分にも電話がかかってくる。フュリーから内線を回してもらうと、聞きなれた、でも久しぶりの声が聞こえてきた。

『アル、元気にしてたか?』

旅に出た弟になかなか会う機会はないが、近況報告と錬丹術の研究の進捗報告を兼ねて、こうして電話がかかってくる。
自身は錬金術を使えなくなってもなお、錬金術オタクは相も変わらず、ついつい会話に熱が入ってしまう。


『なに!?本当なのか!』

思わずバッと立ち上がると片方しか支えのない体が徐々に傾いていく。
またやってしまった、そう思っているとハボックが大きな腕で自分の体を抱き留めてくれた。
ハボックに支えられながら、アルといくつか会話を交わし電話を切ると、ブレダがエドワードが後ろに飛ばした椅子を元に戻し、ハボックがエドワードを椅子に座らせた。

「ったく、大将は相変わらずだな」

わりぃわりぃ、と恥ずかしがりながら謝るエドワードに周りの大人たちが微笑み、優しい空気が流れる。

ただ1人を除いては。


司令官のほうからどす黒いオーラが降り撒かれているが誰も気に留めない。
エドワードに至っては気づいてもいない。
以前、エドワードを抱き留めなかなか手を離さないハボックに嫉妬したロイが発火布をはめたことがあったのだが、それと同時にホークアイが銃口をロイに向けたため事態は沈静化し、以降ハボックは自分の命の心配をしなくてもよくなった。

そもそもこのような事態を招いた原因は現在不機嫌オーラ全開のロイにある。
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