軍豆物語
□軍豆物語➁
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中央から帰ってきたエドワードを労わる宴会の翌日、東方司令部には若干二日酔いの野郎どもといつも通りキリリとした副官がいた。
「今日、エドワード君遅いですね。体調でも悪いんでしょうか」
フュリー曹長が心配そうにつぶやく。
いつもぎりぎりに出勤してくる司令官とは違ってエドワードはいつもホークアイの次に出勤してきていた。
「酒も1滴も飲んでねぇし、大丈夫だろ」
酒を浴びる様に飲んだハボックが答える。
未成年の彼は”今後の成長にかかわる。まだ可能性を秘めたこの体に酒なんて入れられない”と、どれだけ酒を勧められても断固拒否していた。
どうしたものかと各々が考えを巡らせていると指令室のドアが開いた。
『あ、おはよ』
エドワードにしては遅い出勤時間だが遅刻したわけではないのに何故か遠慮がちに入室してくる。
エドワードの姿が完全に見え、鷹の目がそれを捉えると身だしなみに注文がついた。それもそのはず、今日のエドワードはいつも1つに結われている髪はおろしたままでクセもついていて、軍服も着てはいるもののお尻や背中の部分がしわくちゃになっていた。
「おはよう。エドワード君。その恰好はどうしたの?」
『いや、あの、今俺足がないからさ思ったより時間かかっちまって髪結ぶ暇がなかったんだ』
「その軍服のシワは?」
『あぁ、やっぱシワになっちゃったか。座りながら履いたんだけどなかなか上手くいかなくて』
「そう、朝から大変だったのね。でも足がない状況は今回が初めてではないでしょう?これまではどうしていたの?」
『足や手がないのは何度も経験してるし慣れてるけど、いつもアルがいたからさ。できないことはアルが手伝ってくれてたんだ。』
なるほど。日常の些細なことも兄弟助け合って生きてきたということか。しかし、その頼りになる弟は現在シンに旅に出ていてここにはいない。弟がそばにいない状況が初めてだというのでこれから慣れていけばスムーズに行えるようになるのかもしれないが。
ウダウダ考えるよりこの上官を何とかしなければと大尉が動いた。
「エドワード君が苦労したのはよくわっかたけどあなたは少佐で立場のある人なのよ。そんな人がその恰好ではいけないわ。予備の服があったわよね。それに着替えなおしてきてちょうだい」
ホークアイがハボックにエドワードの着替えを手伝うように指示を出しているとまたドアが開いた。