はくしゅ

□はじまり
1ページ/1ページ

はじまり

ある雨の日、ウチに帰ると扉の前に何かが落ちていた。
ゴミが捨てられたのかと思い憂鬱な気持ちで拾おうとすると微かな温かみを感じ、驚いて布の中を見ると小さな男の子がくるまっていた。

ロイは驚愕した。
どうして、こんなに小さい子がこんなところに。その事実以上に彼を驚かせたのはこの子から生えている耳と尻尾だ。

状況をイマイチ飲み込めないがこのまま放っておくワケにはいかない、と家に入れてやりバケツにお湯を汲んでその中に男の子を入れてやった。30cmくらいのその子はすっぽり収まり青白かった顔色もだいぶ赤味が戻ってきた。
お湯からあげると綺麗に体を拭いてやる。
自身の体を触る刺激で目が覚めたようだ。

『・・・・・にゃ』

パチリと目をさますとロイを見て怯えた表情を見せる。

やはり、この見た目といい、鳴き声といい、
どうやらこの子は猫との合成獣らしい。
この事実が本当ならこの子を証拠としてこの子を錬成したものは軍法会議にかけられるだろう

「安心したまえ。私は君の敵ではない。」

あくまでも危害を加えるつもりはないと説明したもののあまり意味を理解していないようだ。言葉を話せないのならこの子から証言を取るのは難しい。

とにかく今はこの子を保護しなければならない。この子がきれる服は無いのでタオルを巻いてやると気持ちいのかタオルに頬ずりする

・・・・・・か、かわいいっっっ

ロイはある決心がついた。
人体との合成獣など大問題だ、国軍大佐である自分が見過ごすワケには行かないし、これ以上この子が危険な目にあうのはいけない。
こんなに大変な事件は他のやつに任せるのではなく、私自身が責任を持ってこの事件を担当し、この子を保護しなければ
と、隠せない下心を最もらしき言葉に変換して心を決めた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ