お題

□1.スキンシップじゃなくてセクハラです
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エドワード・エルリック
伝説の代物と言われる”賢者の石”を探し旅を続けている彼には大きな悩みがあった。

伝説の代物と言われるだけあって賢者の石探しは雲をつかむような話であったが、今彼の頭痛の種は旅のことではない。彼の上官のことだ。

女狂いの上官はいつからかエドワードの顔を見るたび好きだの、愛してる、などとうわごとを吐くようになってしまった。
かわいそうに。軍というところは頭のねじを数本なくしてしまうほどお忙しいところらしい。かわいそうに。

今日もまた定期報告のために彼の上官、ロイ・マスタングのもとへ訪れなければならなかった。
気分は乗らないがこれも仕事なので仕方なかった。


司令室につくといつもの面々が温かく迎え入れてくれた。ホークアイの「お茶を入れてくるからゆっくりしていってね」というお言葉に甘えソファに座ろうとした。
エドワードは決まって真ん中に座る。
ど真ん中に小さな体をドカッと大きく広げて座るのだ。

もうすぐでお尻が着くというところでロイがソファの左側に滑り込んできた。
正直なところ、隣に座られるのは嫌だったがこれも仕方のないことなのだ。この上官は何を言っても聞かないのだろうし。

ソファに座るとお尻の左側に違和感を覚えた。
恐る恐る確認してみるとお尻とソファの間に手が差し込まれていた。
ぎょっとして相手の顔を見るがいつも通り涼しい顔をしている。

そこにお茶を入れたホークアイが戻ってくるとお茶と一緒にお菓子も出してくれたので一息つくことにした。

出されたお茶を飲んでいるとお尻の違和感は大きくなってきた。

もみもみもみもみ
ズズズッ
もみもみもみもみ
ズズズッ
もみもみもみもみ

左側からホークアイ入れた熱いコーヒーをすする音が聞こえる。
そして、それと同時に尻をもみしだかれる。

いつぶちぎれてやろうかと黙っていると、先ほどまで尻をもんでいた手があろうことか、ズボンの中に侵入してこようと動き出した。
これにはさすがに耐えられない。

『おい、オッサン。セクハラで訴えんぞ』

「む、私は29歳だ。おっさんではない。呼びたいならお兄ちゃんと呼びなさい。それとこれはセクハラではない。君とのコミュニケーションの一つだよ。ただのスキンシップだ。」


あぁ、この人は以前会った時よりもまたひとつ頭のネジがなくなってしまったらしい。
かわいそうに。

己の身を守るため、エドワードがホークアイが座っている向かいのソファに避難すると上官は寂しそうな目でこちらを見てきた。
うざいのでキッとにらんでやると今度は先ほどまで自分の尻をもんでいた手を見つめながらニヤニヤしだした。
きもい。空中で尻をもむような動きをするのはやめてくれ。


エドワードは弟の体を取り戻したら上官の頭のネジを取り戻す方法も真剣に考えなければならないと思った。
 

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