松×松

□キスマーク
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僕は今、身体を売って収入を得ている。
もちろん兄さん達には内緒で。
表向きではニートだけど正直お金が足りない。
多趣味な僕にとっては無職は辛い。
とはいっても真面目になんて働きたくはない。
2ヶ月前くらいからやり始めているが今日初めて面倒くさいことをやらかしてしまった。
お客さんにキスマークを付けられてしまったのだ。しかも首筋に。
兄さん達に見つかると面倒くさいことになるからお客さんにはキスマークは付けないように伝えているんだけれど、とうとうやられてしまった。
今はキスマークの上からバンソウコウを貼ってなんとか隠している。
このまま消えるまで隠し通せればいいんだけど...。
「あれ、トド松。首にバンソウコウ貼ってあるけどどうしたの?」
「え!?あっ、チョロ松兄さんかっ」
考えていたことと同じことを言われ、びっくりして身体が跳ね上がった。
さすがチョロ松兄さん...。よく見てるなあ...。
「何でもないよ、ただの擦り傷だよ」
「そっか」
チョロ松兄さんはそれを聞くと首のバンソウコウのことは気にしなくなった。
良かったは良かったんだけれど1番厄介なのが1人いる。
「ただいまブラザー、今帰宅した」
カラ松兄さんだ。
多分気づくのはチョロ松兄さんと同じくらいなんだけれど、その後が面倒くさい。
「おかえりカラ松兄さん」
「カラ松おかえり」
部屋には僕とチョロ松兄さんとカラ松兄さんの3人になった。
カラ松兄さんは痛い革ジャンを脱ぎながら僕の首筋のバンソウコウに気づいたようだ。
「トド松、首筋にバンソウコウが貼ってあるが怪我でもしたのか?」
やっぱりはやいな...。おそ松兄さんとかなら絶対気づかないよな...。
「ただの擦り傷だから大丈夫だよ」
「そうか...?キズ、見せてみろ」
やっぱりそうきたか。
カラ松兄さんは優しすぎるんだよな。
「大丈夫だって。しかも1回バンソウコウ剥がしちゃうと治りが遅くなるじゃん?」
本当に治りが遅くなるのかどうかは分からないけれどカラ松兄さんの関心を無くすにはこういうしかなかった。
「そうか...わかった」
そういうとカラ松兄さんはその場に座り、サングラスを磨き始めた。
いつも通りのカラ松兄さんだ、良かった。
それ以降は誰にもこの事を言われることなく1日が終わった。
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