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□ああ、私は
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あぁ、サラミ…キミは今日も可愛い。





あぁ…サラミ… キミが今日も、愛おしい。






先程から私が見つめている彼女の名はサラミ。

修練に励む姿すら美しいと思わせる。



彼女はハンジ班のメンバーだ。



前にハンジと歩いているところを見、

私は不覚にも、目を奪われた。



あの日から、サラミを見るだけで胸が弾み

思わず、笑みが溢れてしまう。






「…サラミ、少し…ほんの少しでもいい。
こっちを向いてくれ…」




陰から彼女を覗く私の、儚い願いは叶わず

今日も修練が終わった。




ぞろぞろと夕飯に向かう一同が、


私を不思議そうに見た後、ハッとして敬礼をしていく。




「あ、エルヴィン団長!いらっしゃってたんですね!」




私を見つけて敬礼する、その微笑みに

私はまたも目を奪われた。




「エルヴィン団長?」



「あ、あぁ。よく、頑張っているな」


「団長…ありがとうございます!

私、明日からも頑張りますっ!」




サラミがキラキラと、目を輝かせる。




「あぁ、頑張るんだよ。」





あぁ、サラミ…キミといるだけで、


私はまるで天国にいるみたいだよ。






「…おいエルヴィン、何してやがる」



私は天国から、引きずり下ろされた。




「リ、リヴァイ」


「兵長!おつかれ様でした!」


「あぁ、」


「私、夕飯に行きますね!」



再度敬礼して、サラミが去っていった。




「…エルヴィン、何考えてやがる」



「ただ、見に来ただけだよ。」



ニコリ、笑顔を張り付けるも、リヴァイには効かず

嫌そうな顔をする。



「てめぇ、いつも陰から見てんだろ」




ギクリ

一瞬目を見開いた私を見て、リヴァイが舌打ちをした。




「誰を想おうが自由だがな、てめぇの場合は

陰から見すぎなんだよ気持ち悪ぃ」





リヴァイは、何も言えずにいる私に


嫌悪感が溢れた視線を向け


コツコツと靴音を鳴らして歩き去っていった。





「仕方がないだろう…近付くのは、容易くない…」



残された私の独り言は、闇に消えた。





そして私はまた次の日も、その次の日も

彼女を陰から見つめる作業に徹するのだった。




あぁ、私は


(( こうしてキミを、見ているだけで充分だ))


( 団長!そんな陰で…どうかされましたか? )

( !あ、あぁ… 調査だ )

( 調査、ですか?お手伝いすることは… )

( い、いや…サラミ。キミはまだ、
この調査の事なんて、知らなくていいんだ )


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