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□抱き締めて
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「ねぇ、ミカサ」
風が髪を優しく撫でる中、
幼馴染みのミカサと肩を並べて歩く。
「なに、サラミ」
「…私なんかが、幼馴染みだからって
本当に、アルミンの隣にいても良いのかな」
私の質問に、ミカサがため息を吐いた。
「サラミ…、まだ言っているの?
私も、エレンも…
あなた達二人が笑い合っているのが好き。
だから、何も心配することはない」
「そっ…か。」
彼女の微笑みで、曇った心が晴れていく。
「ミカサ、ありがとう」
どこまでも続く、青い空を見上げて
大きく息を吸った。
「まだ、本人には言える勇気なんてないけど
でもやっぱり…私、アルミンが好き、」
笑顔で振り向くともう、ミカサはいなく
そこには、アルミンがいた。
「なっ!え、アルミン?
あの…いつから、そこに…」
まさかの人物に驚き、声が裏返る。
「あ、あの、その…僕!」
耳まで真っ赤なアルミンが、慌てて私から目を逸らした。
その反応に、告白紛いの事をしてしまったという事実を思い出し
私の顔から、さっと血の気が引いた。
「アル、ミン…」
「っ…、……」
゙ 今更、どんな言い訳が出来るだろうか ゙
゙ あぁ、どうしよう… ゙
そんなどうしようもない考えが、
私の頭を、ただぐるぐると回っていく。
沈黙に耐えきれず、口を開こうとするも
それより先にアルミンが声を発した。
「サラミ…」
アルミンが真剣な顔で、真っ直ぐ私を見る。
「っ、アルミン…あの、」
その視線に耐えられず、
目を逸らすため、俯こうとした。
でもそれは、アルミンの手によって阻止された。
「サラミ…僕を見るんだ」
゙困った様に私を見る、その顔さえかっこいい゙
言えない言葉を飲み込んで、彼を見上げた。
「…僕だって、サラミが好きだ」
小さく、呟いたのを
もう一度聞き返そうとした私の言葉は
「なん、っ…」
彼に、飲み込まれた。
抱き締めて
(( 意外と男らしい胸板に、顔を預けた ))
( もう1回、僕を好きって言って )
( …っ、どうして )
( 何回でも、聞きたいんだ )
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