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□もう二度と
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幼馴染みとして育ってきた



2歳年上の、僕の好きな人は



事あるごとに、僕を子ども扱いする。





「アルミン、そこ段差あるからね!」

「わかってるよ。」




「アルミン、嫌いな物も残さず食べなさい」

「…わかってる、」



「アルミン、お部屋で一人で寂しくない?」

「…僕は子どもじゃない…」



終に耐えきれなくなって頭を抱える僕に


ごめんごめん、とサラミが頭を下げる。




「ごめんね。

つい、昔のままのアルミンだと思っちゃって…」


「サラミ…僕はもう、子どもじゃない」




そう言って、壁際まで追い詰めると

自然とサラミが、僕を見上げる形になる。



いつ、サラミの背を越したんだっけ

見つめ合ったまま、そんなことを考える。





「アルミン、離れて…」



精一杯僕の肩を押すサラミの腕を頭の上で纏める。


そんな僕の行動に驚いたのか、目を見開く。




「サラミ…」


「…アル、ミ……ん、」



サラミの赤い艶のある唇に自分のを重ねる。



少し開かれた唇から 口内に舌を滑り込ませ

彼女の舌を絡めとる。



「っ、んん…、」



ぎゅっ、と固く目を閉じるサラミの頭を

片方の手で優しく撫でる。




暫くして、苦しくなったらしいサラミが


纏め上げた腕を必死で動かそうとする。





「ん、…は…ぁ、っ」



「…、サラミ…」


「はぁ…ア、ルミン、」




唇を離すと、どちらのかわからない


銀の糸が、僕とサラミを繋ぐ。




肩で息をする彼女が恥ずかしそうに僕を見る。




「あ、アルミンも…男の子、なんだね」


「うん。だからもう、子ども扱いしないで」


「…えぇ、」




初めて、僕の前で顔を赤く染めるサラミを

誰より、愛しく思った。



もう二度と


(( 子ども扱いされないと、確信した ))

( 好き、かも… )

( 僕は昔からサラミだけだ )


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