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□初めまして、さようなら
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「エルヴィン、団長…?」



「………」





先に行ってしまったハンジさんを必死で追って
やっと追いついた先には、横たわる団長。





その頬に、そっと手を添えると
ハンジさんの手が私の肩に置かれる。




「……サラミ…エルヴィンは、もう、」




「そんな…っ! まだ…暖かい…っ」


「…エルヴィンはたった今、息を引き取ったところだ」




そう小さく呟くリヴァイ兵長の言葉で私は、
彼の最期に間に合わなかった自分を責めた。




「エルヴィン…団長っ…」



「…サラミ、私たちはあっちにいるよ」



気を使ってくれたハンジさんが
他の人たちを連れてその場を離れる。





「……エルヴィンが…お前にと」



兵長に渡された小さい箱をそっと受けとる。



「っ…ありがとう、ございます…」



「…奴は…いつも、お前の話ばっかりだった」



「…っ、」




スッと立ち去る兵長に頭を深々とさげる。








受け取った箱には、
可愛らしいモチーフのネックレスと共に
私宛てのメッセージカードが入っていて。


"サラミ。

これは、君に似合うと思って買ったものだ。
私だと思って持っておいてくれないだろうか。
君の事だから、こんな事を言う上司を
気持ち悪い! と笑うんだろう。

それでいい。感想は直接聞かせてくれ

エルヴィン "




それは紛れもなく
団長の、見慣れた字だった。





"「サラミ、私からプレゼントだ。
嬉しいかい?」


「団長、気持ち悪いです。」"



思い返せばそんなやり取りは
今までも何度かあって、

その度に 気持ち悪いです、
なんてサラリと答える私を見た団長は
いつだって嬉しそうに笑っていた。



そんな彼の笑顔を思い出し、
不意に愛しくなって涙が零れる。



「エルヴィン、だんちょう…っ」



鬱陶しいと思っていた上司なのに

返事が無いことが、苦しいなんて。

こんなにも、寂しいだなんて。


いつの間にか 彼は私の心に巣食っていたと、やっと気づく。




初めまして、さようなら


(( 私の、初恋 ))

( 今頃気付いたって、もう遅い… )


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