short

□くちに広がって溶けるは
1ページ/1ページ







休日、今日は訓練も無いので



同期のなかで私のたった一人のお気に入り、


アルミンの部屋でまったりと過ごす。






「アルミン、そっちの本とって」



「はいはい」




欲しいものを言うと、


アルミンがテキパキと運んでくれる。





「アルミン、お茶ちょうだい」




「あのさ…サラミも、少しは動きなよ」




はぁ、とため息を吐くアルミンが


静かに音を立ててテーブルにカップを置いた。





「…じゃあ、今日最後のお願い。


アルミン、お菓子ちょーだい!」




「良いけど…アメしか無いよ」




「うん、飴でいいよ!」




何度か頷くと、

アルミンが微笑んで手招きをする。




「うん、ならこっちに来てくれる?」



「なに?」



素直に従って、アルミンに近付く。




「じゃあちょっと、目閉じて口開けて?」


「あ、うん」





言われた通り、目を閉じて口を開けていると

唇に、柔らかい感触。



それと共に、舌先で何かが転がる。



「っ…、え…?」


「アメだよ。

僕が食べてるのしか無かったんだ」



可愛い天使が、悪魔のように笑った。




くちに広がって溶けるは



(( 彼が残した、甘い味 ))

( っ、あ、アルミンのバカ!)

( 僕はいつだって本気だ。
 サラミが、だれより好きなんだ )



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ