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□6 お礼のお菓子
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すみれは
片付けに少し時間がかかってしまい、駆け足で赤司が待っているであろう、
図書室へと向かった。
静かにドアを開けると そこにはこちらに気づくと
優しく笑う赤司の姿があった。
「やぁ。…あれ、今日は2つ結びにしているんだね。 似合っている …とても、可愛らしいよ。」
と言われてしまい、
すみれは 顔が赤くなりつつも、
『お、お菓子を作るときに
邪魔になるので…‼』
と何とか答えられた。
「…そういえば、きみから
甘い香りがするね」
“何を作ったんだい?”
と微笑みながら聞かれたので
(よし、今だ…‼)
すみれは思い切って、
『あ、あの、カップケーキ、作ったんです。 昨日のお礼に…
貰ってくれませんか⁇』
と 差し出したカップケーキは、
チョコチップ入りのもので、
ラッピングは赤司をイメージして
白っぽい透明な袋に
赤のリボンを結んだものにした。
すみれは 恥ずかしさのあまり下を向いて目をギュッとつむっていたが、
だいぶ待っても返事が来ないので
おそるおそる顔を上げてみると、
…そこには
目を丸くして驚く、
赤司がいた。
(赤司くんが驚いてるとこ、初めて見た…)
私と目が合ってハッとしたのか
「これ…僕のために⁇」
と、掠れた声で聞かれたので
『はい…
口に、合わないかもしれないんですけど…‼』
「いや、ありがたく頂くよ。有難う。」
と少し照れたように微笑んだ。
その様子にすみれは、
“思い切って渡してよかった…”
と、心がじんわり温かくなった。