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□1 君との約束
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───どれくらいの時間が過ぎたのだろう。
オレンジに染まっていた空は
いつの間にか真っ暗になっていた。
(よーし。本も全部片付けたし、
そろそろ帰ろうかな…)
と、帰り支度をしようとしたその時。
「まだ、誰か残っているのか?
もう暗いから早めに帰った方がいいぞ。」
(この声は。)
間違いなく、“あの人” の声だった。
『あ、赤司くん…!!』
やっぱり。振り返るとそこには
想い人である赤司がいた。
すみれは、一気に体温が上昇しているのを感じながら、
『あの、なんでここに…? 』
あわてて私が尋ねると、
“あぁ。”
「ミーティングで部活が遅くなってね。帰ろうと思ったら、図書室の明かりが灯っていることに気づいて気になってきてみたんだ。」
と言った。
───目の前に、あの赤司がいる。
(わ… ほんと、かっこいい…)
すみれがぼーっとしていると
「きみ。よくここから体育館を見ているだろう?」
と、声をかけられた。
『え。なんで知って…!? 』
すみれは、
見ていたことがバレていることに、
はずかしくて顔が熱くなった。
「夕暮れの中、何か…愛おしそうに、外を見ているきみのことが、
前からずっと
気になっていたんだ。」
“どんな子なんだろうってね ”
と、微かに、でも、とても優しく笑うあなたを見て
私の“好き ”はどんどん
大きくなっていく。
「きみ。名前は?」
そう聞かれ、
緊張で震える声で
『吉田 すみれ です…!! 』
と答えた私に、
「吉田さん。今度からきみに会いにここへ来てもいいかな?
きみのことを、もっと知りたいんだ」
微笑みながらそういうあなたに、
もう、窒息しそうなくらいに
胸がいっぱいになった。