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□エイプリルフール ネタ
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部活が終わり、
春の夜風が吹く帰り道。

それまで談笑していた僕達だったが、
ふと 名無しさんがこちらを覗いてきた。



『征くん!
…今日はエイプリルフールなんですよ?』
“知っていますか?”

ふふっと隣で笑う君。



( 嗚呼、なんて愛おしい)

キュウッと胸が締め付けられる。



「──知っているよ。

…そうだ、今から君の家に着くまで
嘘のつき合いをしようか?」



人差し指を口に当ててそう呟くと
目の前の君は“わぁ…楽しそうです!”なんて可愛らしくはにかんで。



(ちょっと意地悪してみようか)



なんて想いが膨らんでしまい、
“じゃあ、僕からね。”
君の目を見てこう言った。




「…僕は名無しさんの事が
世界一、 嫌い だよ。」




嘘だと分かっていても 君に“嫌い”というのは少々気が引けたが、
嘘…つまり、
裏を返せば──そういう事だ。



君はその言葉を聞いた途端、
俯いて僕に顔を見せないようにした。



…でも、長い髪から覗く耳が
林檎のように真っ赤なのが分かり、
僕の言葉の意味が伝わったのだと、
満足げに笑う。



「…どうしたの、耳 赤いけど。」



聞かなくても何故かは分かっているが、あえて聞いてみる。
すると君は下を向いたまま、
か細い声でこう言った。




『……っ


…嬉しい、けど、 嘘でも、“嫌い”なんて言わないで下さい…っ』




(…僕を殺す気か。)





心臓が止まりそうな程の可愛らしい発言に思わずクスッと笑ってしまう。




──なんて、いじらしくて、
可愛い 僕の彼女。
君の事なんて、嫌う訳ないよ。





そう思って未だに耳が赤い君を
優しく抱き締め、頭をそっと撫でる。



『うぅ…。』



僕の行為がお気に召したのか、
顔を隠すかのように
頭をぐりぐりと僕の胸板に押し付ける。


“たまには 嘘をつくのもいいかもね”
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