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□恋心 シリーズ
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あたし、名無しさん 名無しさんは、帝光バスケ部のマネージャーだ。

…そして、ひとつ年上のキセキの世代の1人、赤司先輩に、密かに片想いをしている。


「あれっ 名無しさんっち。まーた赤司っち眺めてるっスね。 話しかけたらいいのに…
おれ、応援してるっスよ」

『有り難うございます。黄瀬先輩…』


でも、この恋は報われない。
何故なら、私の好きな人には好きな人がいるからだ。
ほら、いまも。


「桃井、今日も部員をサポートしてくれて有り難う。とても助かった」
「いいよーっ 赤司くんにそう言ってもらえると、何だか嬉しいな!」


赤司先輩とお話しているのは、私と同じ、マネージャーの桃井先輩。美人だけど、笑顔は可愛くて、性格も良いという、非の打ち所がないような人だ。
赤司先輩はあまり女子と話すタイプではないのだが、桃井先輩とはよく話をしている。
本当にお似合いすぎて、眩しいくらいだ。


…2人だけの世界。といったように、微笑み合う先輩たち。

あたしは今日もそれを見て、心がズキズキと痛み、ため息をついた。








名無しさんが、ため息をついている。 …何かあったのだろうか。ハラハラしながら名無しさんを見ていると、

「赤司くーん、また名無しさんちゃん見てるーっ 恋も良いけど、今は練習に集中しなきゃ!」

と桃井が少しにやけながら言ってきた。…周りにバレるくらい見てしまっていたのか。

「ほんとっス…ちょっと見過ぎなんじゃないっスか? 」

涼太までそう言ってきた。
オレは少し考えて

「…なぁ、名無しさんにも、バレていると思うか?」

2人にそう尋ねると、顔を見合わせて苦笑いした。

「「多分…バレてない」っス」


((お互い、好きなくせにいつまでこのままなんだろ))


「そうか… なら、良いんだが」

(名無しさんは、オレのことなんか見ていない。名無しさんが好きなのは、きっと…)

「ん?何スか?赤司っち」

「…いや、何でもない」

名無しさんと涼太はいつも2人で親密そうに話し込んでいる。
そのときの名無しさんの表情はとても楽しそうで、
涼太に、いつも嫉妬してしまう自分がいた。
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