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□16 君と通じる心
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待ち合わせ場所に着くと、
まだ15分前というのに 赤い髪が目を引く、あの人が見えた。

思わず、サッと物陰に隠れて覗き見る。


(う、わぁ…っ)


白いシャツの上から 黒のロングジャケットを羽織り、グレーのパンツを履いた姿は、
道行く人々の目を一身に集めている。


シンプルだが、洗練されていて、赤司にとてもよく似合っていた。



(すっごく格好良い… 私、隣に立っても大丈夫かな)


少し不安になり、中々出て行けずにいると、パチっと目があった。

…こちらに気付いたようだ。


(見つかったなら、もう しょうがないや…っ)



『お、おはようっ 赤司くん…』



すみれは赤司に駆け寄って行き、緊張しながらも挨拶したが返事が返ってこない。


赤司が口に手を当てたまま、固まっていたのだ。

私の視線に気づき、ハッとしたかの様にこちらを見る。


「… 驚いたよ。 きみが、あまりにも 可愛いらしい格好をしているから。 …誰にも、見せたくないくらいだ。」


少し掠れた声でそう言われ、すみれは顔が熱くなる。



『〜〜っ あ、赤司くんだって、
今日、すっごく格好良いです…っ』


それを隠すかのように
慌ててすみれが返すと、
”有り難う”と、微笑まれた。



「…その格好、僕のためにして来てくれたと、思っていいのか?」



真剣な表情でそう言われ、すみれは言葉に詰まったが
顔を赤く染めながら、こくりと小さく頷いた。


「…っ きみという人は…。
僕に、襲われてしまっても知らないよ?」


そう言われ、さらに顔が赤くなっていくすみれ。
その様子を見て、楽しそうに笑う赤司。


「…じゃあ、行こうか?」


そう言って、さりげなく手を差し出すあなた。


すみれはどうして良いか分からず、躊躇っていると、



「…僕と手を繋ぐのは、嫌か?」



と寂しそうに呟かれた。


(そんなわけ…ない…っ)



持て余した手を下ろそうとする
赤司の手を、自分から重ね合わせる。


赤司は目を丸くして驚いたが、
すぐに嬉しそうに笑った。
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