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□11 夕暮れは眠気を誘って
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待ちに待った月曜日。
空気を入れかえるため 窓を開けると、秋風が少し肌寒く、すみれは制服の上からカーディガンを羽織って家を出た。
(やっと、赤司くんに会える…っ)
すみれは嬉しくてたまらなかった。
「おっはよーっ すみれちゃん!」
「おはようございます。吉田さん。」
いつも通り、2人の大切な友人が声をかけてくれた。
(…あぁ。 本当に。)
“幸せだ。”
『…おはよう。2人とも。』
すみれは幸せな気持ちを噛み締めながら言った。
…けれど、そんな幸せは一瞬で崩れ去った。
次の黒子の一言によって。
「…そういえば、来週は定期テストがありますね。お2人は何か勉強していますか?」
サーッと血の気が引いた。
『テ、テスト…⁉』
すみれは、とても驚き、青ざめた。
そう、すみれは勉強が少し苦手なのだ。特に数学は壊滅的にひどい。
いつもテストが近づくと、2人に助けてもらうのだった。
「さては吉田さん。またテスト勉強していませんでしたね? …そうだ。赤司くんに教えてもらってはどうですか?彼は学年首席ですし、いつも青峰くんと黄瀬くんに、テスト前になったら勉強を見てあげているんです。」
黒子が 私の想いを知っているかのように、ゆっくりと微笑んだ。
「さっすがテツくんっ 超グッドアイデア! すみれちゃん、今日も赤司くんに会うんでしょう?そのとき聞いてみたら?“勉強、教えてくれませんか”って」
と、さつきも乗り気だ。
すみれは赤司に自分の頭の悪さがバレてしまうことがとても恥ずかしかったが、
“教えてもらいたい”と言う気持ちが勝ってしまった。
『…うん。今日、頑張って聞いてみる…っ』
思い切ってそう言うと、
「えらい、すみれちゃん!」
「頑張ってくださいね、吉田さん。」
2人は励ましの言葉をくれた。
(よーし。頑張ろう…っ)
すみれは自分に気合いを入れた。