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□君と話したくて
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──耳に聞こえてくるのは
傘を叩く雨の音だけ。




…まるでこの世界に
私と貴方以外、誰もいないかのように。




(つまらないのかなって
思われないかなぁ。
全然、そんなことないのに…)







隣にいる赤司くんの顔は
傘とこの雨のせいでよく見えない。





…話そうと思っていたこと、
昨日の夜頭の中で
何度も何度も
整理していたのにこれじゃあ意味がない。




(…静か…。
赤司くん、どう思ってるかな)




目線を少しだけ上げて、
傘から赤司くんの顔を覗く。




ぱちっと音が鳴ったみたいに
赤司くんの綺麗な宝石の様な
オッドアイの瞳と目が合う。




私はすぐに何でもない振りをして
傘で顔を隠す。




貴方の瞳を見ると、
目の中にキラキラ星が降って、
瞬きすらできない。



(…なんでかなぁ。
どうしてなのかなぁ。)



赤司くんの事を好きなのに
本当に大好きなのに、




傍にいると
緊張して何にも話せなくなっちゃう。




だから貴方の顔を見て話すなんて
出来るわけない。





だけど、お願いだから、
つまらない子だと呆れないでよ。






──嫌わないでよ。

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