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□やきもち
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───これはある日の帰り道の話。
『赤司…くん。 怒ってる…よね?
私、なにかしたっけ…? 』
何度問いかけても
下を向いたまま、口をきいてくれない
赤司くん。
(もう、嫌われちゃったのかな…)
そう思うと、目から涙がボロボロこぼれ落ちてきた。
「……!! 名無しさん…」
私が涙を流すと
目を丸くして驚いた赤司くん。
すぐに、苦しそうな顔になり、
“すまない”
と謝られた。
「泣かせるつもりなどなかったんだ…! ただきみがほかの男と話しをしているのを見ただけで
心が黒くてドロドロした感情に
なってしまうんだ…
ほんとうに、すまない。」
というと、赤司くんの手が私の頬に
ふわり と伸びてきて
涙を優しく拭ってくれた。
(…そっか。怒ってたんじゃなくて
やきもち妬いてくれてたんだ)
と、思うと自然に頬が緩んでしまった。
「名無しさん…?」
心配そうに顔を覗き込んできた
あなたに、私はグイッと
顔を近づけて耳元で囁いた。
“心配しなくても、私はあなたが1番大好きだよ ”
って。
その後 言った私はすごく照れて
そっぽを向いてしまったけど、
すぐに私は向き直されてあなたの香りに包まれた。
甘い、優しく溶ける声で
“僕だって、きみのことを
愛している”と
───あなたにそう言われて堕ちない人なんていないと思う。