その少女、即ち

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部屋に入り名無しさんは驚愕する


此処は本当に部屋なのだろうか?


司令室とは名ばかりの芥溜めではなかろうか?


そう思わせる程、司令室の床は一面紙だらけだった


「さぁ、座って?」


紙と壁にズラリと並ぶ書物以外には、机と一脚の椅子とソファしかないこの部屋


その一脚の椅子にコムイが座ったので必然的に名無しさんはソファに座るしか無かった


故郷である日本の宮中や自分の屋敷とは掛け離れた散らかり用に居心地がとても悪いが、どうする事も出来ないので二人きりになった理由を話すことにした



「単刀直入に言うと、私は女だ」


…………。


「えぇ?!」


醸し出していた雰囲気にそぐわない程サラッと言ってのける名無しさんにコムイは反応が遅れる


唐突過ぎて頭が追いつかないが、容姿は最初に見た時から男性的では無いと思っていたので妙に納得してしまう


そんな一人パニックに陥っているコムイを置き去りにし、再び事の経緯を語り出す



「…私は元々農民の出で、畑を耕し一生を終える、そんな人生になる筈であった
しかし私は生まれながらにイノセンスを宿していたのだろう
物心付いた頃には術符を出す事が出来たのだ
妖、いや悪魔を本能的に倒した日から私は村に結界を張ったり、自然の摂理を脅かさない程度に気候を術符で操り畑を耕して暮らしていた」


顰めていた眉が少しだけ元の位置に戻る


そこから察するに、きっとこの頃の記憶は彼、もとい彼女にとって幸せなものだったのであろう
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